カマキリの直美さん

@110472

第1話

 それは秋が始まって、少し経った頃の事だった。

「もう秋だなぁ。」

 私は浜辺を歩きながら呟いていた。

 秋の海は少し涼しい。秋は私にとっては好きだ。

 そんなことを考えながら歩いていると、私の足元から声がした。

「今日はこんなに歩いた。疲れたなぁ。」

 私は驚いて足元を見た。一瞬私はフリーズした。そこにはカマキリがいて、1人でしゃべっていたのだ。そしてたカマキリと目が合った。

「ごめん、私の独り言だから気にしないで。」とカマキリは言った。

 私は内心、「カマキリがまた喋った!」と驚きつつ、カマキリに言った。

「気にしますよ。だってカマキリが話すなんて見たことないから。良かったらあなたのこと教えてください。」と私は言った。少し緊張しつつもカマキリに言った。

 カマキリは「そうよね。気になるよね。今夜、あなたの家に泊めてくれる?私今日寝る場所を確保してないから、困ってたの。家に泊めてくれるなら私のことを教えるよ。」と答えた。

「私の家に泊める?そんなことでいいんですか?言わなくても泊めようと思ってました。しばらくの間泊めますよ!」私は興奮気味に言った。

「ありがとう。家に泊めてくれるのね!助かるわ。私は直美。あなたの名前はなんていうの?」

カマキリから名前を訊かれた。

「私は千代です。これからよろしくお願いします。」と私は答えた。そして数秒迷って、ビニール袋を取り出し、カマキリの直美さんをビニール袋に入れた。「直美さん、少し我慢してくださいね。ここから10分で家に帰ります。」と私は言った。そしてビニール袋に入った直美さんを大事に抱えた。


帰りながら直美さんと私はお話しした。

「今日は家に泊めてくれるって言ってくれて嬉しかった。ありがとね。」

「別にいいです。私一人暮らしで寂しかったから。」

「家族いないの?見たところ、あなた子供よね。何歳?」

「私は家族と訳あって、今一緒に暮らしてないんです。私は15歳です。」

「そう。大変ね。」

「そうでもないですよ。話してたら着きました。ここが私の家です。」

「とても素敵なマンションね!」

「そんなことないですよ。」

そんな話をしていた。


 なんだか何もしていないのに、疲れた気がする。

 もう午後の5時だ。

 とりあえず、直美さんをリビングに連れて行って、机の上のタオルに置いて、袋から出した。

「直美さん、袋の中にずっと入れててすいません。疲れたでしょう。」と私は言った。ビニール袋に入れてたのが申し訳なかった。

 でも、直美さんは「いいよ。家に連れてきてくれてありがとう。今日は朝から歩いてて疲れていたの。」とビニール袋に入れたことには何も思っていないようだった。

 私は先に直美さんのことを訊くかご飯にするか、頭の中でぐるぐると考えていた。お互い黙っていて少し気まずかった。

すると私のお腹が鳴った。

 直美さんが機転を効かせて、「そろそろ人間は夜ご飯の時間よね。私の事は気にせず食べていいよ。」と言ってくれた。

 ちょこんとタオルの上に座っている直美さんはかわいいな。とか余計なことを考えつつ、「ありがとうございます。直美さんのご飯も用意しますね。」と答えた。

 直美さんも恐らく口に出さないだけで、お腹が空いていると私は思う。

 直美さんは「実は朝から何も食べてなかったのありがとう。」と私に言った。

 よし!ここから料理の時間だ。何を食べようか!!




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