第2話

拾われてから三日後...気づいたことがある。飼い主は社畜だ。しかもそれなりにブラックの。夜中に電話がなることもしばしば。耳がいいので、電話越しに怒鳴られているような声も聞こえる。部屋にある電子時計を見ると今日は土曜日。「今日は休日出勤だから」とのことだった。

(これはいかん、が私にどうにかすることはできないものか...)

そう考え、周りを見渡す。この家にはテレビがない。外の情報を得ることはなかなかできないのだ。本もない。というより本棚もない。飼い主は一体休日何をしているのだろうか。思考を回していると風が吹く。

(む、風?)

閉め切っているのだから風が吹くことはなかなかないだろう。風の出所へ行ってみる。すると、

(飼い主よ...これは流石に不用心すぎるのではないか...)

ベランダへ行くための扉が開いていた。網戸もしていない。

(...飼い主には悪いが...いい機会ではあるか。)

まだ昼。飼い主が帰ってくるのは夜のため、まだまだ時間はある。やはり情報は自分の足で集めるに限る。そう思い、ベランダに出る。このくらいの高さなら問題はない。上ることも大丈夫そうだ。私の体は子猫である。そしてこの高さ。そう、ここはアパートの一階なのだ。やはり不用心がすぎる...


そして歩いていると異変を見つけた。何というか...異変というより不自然な場所とでも言うべきか。周囲には大きな建物がある。しかし、なぜか洞窟がある。明らかに自然物のような雰囲気。しかし、その周りは整備されている。おまけに人も多い。その人についても明らかにおかしい。武器を持っているのだ。武器と言っても銃ではなく、剣などの刃物が多い。

(なにかの撮影か?)

看板が見えた。C級ダンジョンと書かれてあった。そして洞窟の入り口の前に警備員の人らしき存在が立っている。...どうやら免許証のようなものを提示して中に入っているようだ。

(私が転生したのは普通の世界ではないのか?)

一旦状況をまとめてみよう。


・この世界にはダンジョンが存在する?(本物?)

・警備員、免許証のようなものから法整備がされている


取り敢えず、この二つか。

(しかしながら、興味あるな...だってダンジョンなんていう存在が目の前にあるというのだ。今の私は猫の姿であるし...)


端っこ辺りから...ダッシュ!


...あっさり入れた。

(む、なぜか体がムズムズするぞ。)

そうして何かが目の前に出てきた。

(ステータスボード?...いよいよRPGじみてきたな。)


名前:

位階:1

称号:□を知りし者

種族:□□の怪異

状態:思考鈍化[異常] 封印(猫)[異常] 不確定存在[異常] 

特技:妖術(□) 妖術(□) 見 

□□:□□□□ □□


(...色々言いたいことはあるが...異常ってなんだ...所謂デバフ的なものであるなら3つついているのだが...あと怪異?ただの猫ではないということは分かったが妖怪と何が違うのだ...あと特技。なぜ妖術が二つもあるのだ。仕様がよくわからんな。)


まあ、折角だ。ちょっと奥まで進んでみようか。

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