やることなすこと全て裏目に出る男のヤンデレ回避術(回避できるとは言ってない)

ミナトノソラ

第1話 転生した

 気づけば俺はギャルゲーの世界に転生していた。多分前世でトラックに引かれたと同時にこちらに転生したのだろう。


 目が覚めれば見覚えのない天井が視界に映って、だからといって病院の天井では無かったからもしかして、と思って色々と調べてみれば俺は前世で絶賛プレイ中だったギャルゲー『転生したらギャルゲーの世界だった件』のモブに転生していたのだ。


 モブ、つまり物語に一切関与しない人物。一言で表してしまえば必要のないキャラクターに転生してしまった。

 せっかく大好きな世界のキャラクターに転生したのにメインキャラクター達との絡みが存在しないモブに転生しては意味が無い。


 主人公に転生させてくれなんて贅沢は言わないからせめて噛ませの悪役キャラになりたかったな。


 俺(モブ)の名前は竹神 憲伸。モブのくせに一丁前にかっこいい名前。これでモブだと言うのだから世の中分からないものである。


 前世の名前は佐藤敦だ。世間一般的な苗字に世間一般的な名前。名前の通り何の面白みのない前世だった。

 普通に青春して、普通に大学進学して、普通に就職して働いていた。


 1つ転生できて良かったメリットを上げれば高校生に戻れたことだろうか。恋愛ごとに全く縁が無かった前世の高校人生。


 モブだからメインキャラクター達との絡みは存在しないとしても同じくモブの女の子の中にも可愛い子は沢山いるだろうし、絡みも起こるだろ。いや、起こって貰わないと困る。


 もし悪役に転生していたらメインキャラクターたちの情報をまとめたりするものなんだろうけど、あいにく様俺はモブなんでね。悪役様のように役目が与えられておらずメインキャラ達と絡みも許されなかったから。


 キャラたちの情報は記憶しているけれどまとめるのは意味が無いからやめておこう。俺は俺でニューライフをエンジョイするのだ。

 ついでにギャルゲーのメインキャラたちの動きとかも観察しながら生活できたらいいな、なんてとも思う。






 俺、竹神 憲伸には2人の妹がいるらしい。姉の方が星願きらり、妹がひかる。モブの妹らしからぬ美しさと可愛さ。


 これレベルのビジュを持ってしてもメインキャラクターの座をつかみ取れなかったのか。2人の名前をゲーム内で聞いたことは無いので妹たちも俺と同様モブなんだろうけどね。


 星願と輝は高校一年生であり年齢は同じだけど双子ではない。星願が生まれたとが4月の頭で、輝が生まれたのが3月の下旬。


 1つ上が俺であるから親がその頃だいぶお盛んだったことが想像できるが別にそんなことはどうでも良くて…


「学校や」


「何言ってんの兄さん」


「そうだよ憲伸」


 俺は久しぶりの登校というものに感動していた。

 だって10年ぶりだよ?前世で高校生だった頃はあっという間に時間が過ぎちゃっていつの間にか卒業しちゃってて...なのに今俺は再び高校生になっている。


 感動しないで何をするってんだ。


 あ、ちなみに兄さんって呼んでる方が星願で呼び捨てしてきてる方が輝ね。

 俺達は今兄妹3人で一緒に学校に向かって足を運んでいる。


 俺の左側には俺の腕を掴んで放そうとしない星願。右側には何故か恋人繋ぎをしてきている輝の姿。


 一見傍からすれば美少女を侍らせているハーレム野郎に見えるかもしれないけれど至って普通の兄妹...普通?


 ...いやこれって普通の兄妹じゃなくないか?何か少しおかしくないか?

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