1話 出会い

シンは仲間達と共に《エターナルユートピア》の物資保管庫を襲撃して物資を奪い取り《アーク・ネオ》の拠点に持ち帰る最中に何処からか人の声が聴こえた為、1人その場所へ向かった。そこには1人の女性がいた。

「君はこんな所で何をしているんだい?」

シンは女性に向かって声を掛けた。

「弟を探しているんです。3日前にこのアルドラ地区で《エターナルユートピア》と《アーク・ネオ》の抗争があってその際に逸れてしまって。」

その言葉を聞いてシンは苦虫を噛み潰したような表情を見せた。確かにこのアルドラ地区で3日前に自分たち《アーク・ネオ》と《エターナルユートピア》とで抗争があった。そしてその際の被害は双方共に100人以上の死傷者を出して更に、逃げ遅れた民間人達にも大きな被害が出ていた。シンは胸元から1つの端末を取り出して彼女に見せた。

「この端末に今、黒字で表示されているのは重症でも生きている人間だ。そして残念ながら赤字で表示されている人間は死んだ人間だ。」

「どちらにも載っていない。ならまだ生きている可能性があるかもしれないですね。私は探しに行きます。」

女性がその場を去ろうとした時に辺りに黒服に顔はペストマスクに角がついた様な存在達が現れた。

「クソが。《エターナルユートピア》のエージェントどもかよ。群れないと大した強さじゃねぇがこんなにも大量に送り込まれたなら迷惑極まりねぇな。取り敢えず仲間達にこの場所を知らせるからそれまではアンタを守りながらコイツらを始末することにする。話はそれからだ」

そう言ってシンは手元から青紫の煙を辺り一面に撒き散らした。そして背中に背負っていた黒い片手剣を手にエージェントに向かっていき加速して纏めてエージェントを袈裟斬りにする。そしてエージェント達が銃撃して来た場所から直ぐに離れて同士討ちさせて次々と数を減らしていく。倒されたエージェントは次々とガス状になって消滅していくがそれでも数が多い為、徐々に劣勢になっていく。次第に傷も増えていき息も荒く浅くなってきた。

「こんな所で倒れる訳にはいかねーんだよ。」

そう言って片手剣を杖代わりにして手に力を込めようとした時に3方向同時にエージェント達が倒され始めた。

「リーダー、アンタに死なれちゃこっちが迷惑する。この塵を片付けりゃいいんだな。」

1人は黒い服に赤いラインが入った大剣を持った青年が立っていた。

「ラング、リーダーに対して少しは口の利き方を考えろ。コイツら駆除するのには同意だけどな」

1人は黒い変わった形の赤と青いラインが入って銃を持った黒いレザージャケットを着た青年だった。

「ダルっ。時間は有限だ。さっさと片付けるぞ」

1人は《アーク・ネオ》の紋章が刻まれた水色のラインが入った白いコートを着た青年が青とオレンジ色の弓を持って立っていた。

「やっと来たか。悪いがこの塵共を片付けるの手伝え。」

「言われなくても」

「最初から」

「そのつもりだ」

それぞれの青年が武器を使ってエージェント達を次々と倒し始めるとシンも片手剣を背中の鞘に戻して今度は腰の鞘から短剣を2つ取り出して蹴り技と短剣で斬りつけて次々と倒していく。

「何体か逃げようとしている。一体も逃すな奴らに情報が渡ると厄介になる」

シンが指示を出したタイミングで弓を持った青年が上空にエネルギーの大きな矢を放つとエージェント達に向かって大きな矢が分裂して小さな矢に変化して襲い掛かりエージェント、全てを始末した。

「リーダー、無事ですか?それにそちらの女性は?」

「何でも弟を探しているらしい。だが1人で行動するのは危険だから保護してお前らと合流して拠点に戻ろうとしたらエージェント共に襲われた訳だ。」

「そうか。なら俺が拠点までの護衛を担当する。ハントとラングはリーダーを守りながら拠点まで戻るぞ。もう直ぐ日が暮れる。そうなったら危険だからな。」

「悪いなラキア」

ラキアと呼ばれた弓使いの青年が先程の戦いで銃を使っていた青年・ハントと大剣を使っていた青年・ラングに言われると2人は頷きながらシンの傷を負った箇所に応急処置で包帯を巻いて、拠点へと歩き始めた。

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《ミライへ託せ》 @Karasu72noko

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