いくさびと 毛利元就
もふもふ
第1話
この話は、実話を元にしたフィクションであり、実在の人物や動物を脚色したものである
1本の矢は容易く折れる
しかし3本束ねたならば、容易には折れぬ
そう主張した毛利元就(もうりもとなり)という武将がいた
戦国時代に活躍した、3という数に極めて興奮する特殊性癖を持った男である
かつてこの国では様々な戦や乱が起こった
しかし不思議なことに、3月だけはただの一度も争いは起きていない
毎年3月に全盛期を迎える元就が周辺諸国に睨みを利かせていたからである
天下を取るために元就が目を付けた存在がいた
地元ではありふれた獣、ケルベロスである
元就の性癖とこれ程相性の良い獣は存在しないだろう
走攻守、衣食住、飲む打つ買う、様々な三拍子を兼ね備えた地獄の番犬
すぐさまケルベロス部隊が編成され、次々に周辺諸国を侵略していく
戦力差をものともせずに戦場を縦横無尽に駆け回るケルベロス部隊
それまでは騎馬隊が主な主力であったが、元就の趣味により一頭のおうまさんに3人の兵を乗せるという摩訶不思議なお荷物部隊であった
例えば100のケルベロス部隊がいたとしよう
そこに200の兵が攻めてきたとて、頭が3つなので戦力は3倍の300である
寡兵(かへい)ながらも戦力は上回り、常勝不敗の部隊として恐れられた
元就のそばにケルベロスあり、ということわざの語源である
元就プロデュースのアイドルグループ、KRB33の名前でアイドルとしてもデビューし、民からの人気はうなぎのぼり
デビュー曲の
歌って踊れるケルベロス
がミリオンヒットを達成したことは言うまでもない
しかし、完全というものは無い
ケルベロスの欠点、それは頭が3つある故に
メシをめっちゃ食う
凄まじく餌代がかさむ
試しにメシを減らしてみたところ、頭の2つがストライキを起こし、常に眠るようになった
働かざる者食うべからず、ならぬ
食わぬもの働かざる、である
結果、ケルベロス部隊は、2つの頭が眠っている大型犬、それにまたがったおじさんの部隊と化した
ケルベロスが強すぎた為に、鍛錬せずとも勝てたので自らはすっかりなまっているおじさんたち
しかし2つの頭が眠っていてはどうしようもない
単純計算すると頭が2つ眠っているので3分の1の戦力で、おじさんが乗っていて邪魔なので更に半分である
かぶとむし相手なら良い勝負出来ると思うよ
オオクワガタだと分が悪い
ジリジリと元就の戦力は削られていった
いつしか病に倒れ、これからはケルベロスたちを戦いの道具ではなく、人々のために、世のために生かしたいと誓う元就
いくさの影響で数を減らしていたケルベロスの保護活動が行われ、その甲斐あって現代でも彼らは健在である
令和の世でも、我々の隣にはケルベロスがいる
ありがとう、毛利元就
いくさびと 毛利元就 もふもふ @mohumohuuuu
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