第3話 ペロタン、荒野に立つ!

 ペロタンが目覚めるとそこは荒野であった。


 ペロタンがいつものように空き地の土管の中で寝ている間に、地球は核の炎に包まれた。


 全面核戦争が勃発し、連綿と人類が築き上げてきた現代文明、大多数の人々の命、ささやかな営み、そして第2話の伏線が跡形もなく吹き飛ばされ燃やし尽くされた・・・


 ペロタンも爆風に吹き飛ばされ、瓦礫の下敷きになってしまった。瓦礫の下敷きになったぐらいでペロタンの肉体にダメージはなかったが、彼の本能がこの危険な状況を感じ取り、状況が落ち着くまで肉体が冬眠状態に入った。


 そして、10年の月日が流れた・・・


 ペロタンが目覚めるとそこは荒野であった。

 瓦礫を押しのけて地上に這い出たペロタンの前に広がる荒野。ペロタンが眠る前には住宅地が広がっていた地域・・・全ては破壊され尽くされた後であった。


 西暦は崩壊しており、正確には何年か分からないが、21世紀に半ばにして、世界はすでに世紀末と化していた。


 この世界の支配権に握ったのは、放射能による突然変異により人間の限界を遥かに超えた力を得たミュータント達であった。


 ミュータントはおしなべてマッチョであり、また、下位種はモヒカンなどの奇抜な髪型をしている。そして、それらを統べる上位種は下位種を遥かに超える戦闘能力と、なぜか出所不明の拳法をマスターしていた。


 わずかに生き残った人々はミュータントの影におびえながら、なんとか生きながらえていたのだった。


 ペロタンの目の前に広がる弱肉強食の地獄の荒野・・・


 あまりの状況の激変ぶりに、ペロタンは戸惑いを隠せなかったが、じっとしても始まらないので、行く当てもないままに歩き始めた。


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