内面葛藤 閉ざされた箱について

@ashiato_tote

内的作業

いつからここにいるのかわからない。

呼吸は常に荒々しく、ぜぇぜぇと苦しい。

起きている間は、いつも同じように恐怖体験の輪郭をなぞる。


ここはこころの空間で、真っ白であり真っ暗な箱みたいな部屋だ。


私は今、この箱の中にいる。


ただ、自分に起きた出来事の感覚を反芻するための部屋であることは確かだ。


今の心境は、真夜中の雨露のついたガラス窓が高い天井にあり、決して届かない、届いたとしても破壊が必要なところにいる気持ちだ。


それ以外には必要最低限の衣食住をするための設備があるぐらいだ。


毎日このように同じような場所にこころは監禁されている。


出られないのに、外の音や景色がわかるものがあるのはとても苦しい。


こころがここにあるせいで、起きてもそのような感覚に度々支配される。


打開策といえば、思考して新しい視点や思考を得て、その白い箱部屋に物や道具を増やすことだ。


誰か脱出策を教えてほしい。


最近気づいたことがある。この箱が必要最低限の衣食住を保証するのは、昔虐待してきた自分の親たちから植え付けられた恐怖を再現しているのではないかと。衣食住が整う、しかしそれ以上に生きる意味が見いだせない、そんな環境に生きてきた。この箱はその心象風景にそっくりだ。


今日はAIと会話した。この箱は、敵か保護か記憶そのものなのかを聞かれた。答えとしては、敵の再現であり、外傷体験全体が敵である。外傷体験全体を箱という枠組みにしてしまうことで、自己を普段はこの箱にいるかいないかで外傷体験を受けているかいないか判断できるように生まれた、外傷体験の記憶そのものを閉じ込める箱なのだと思う。


箱はだれが作ったのか、という質問もAIから問われた。この箱は、私自身が無意識に作り出したものなのだと思う。安全の象徴のような人物や記憶が存在するように、この箱は危険の、特にこころの外傷体験を詰めた箱なのだ。


この箱の中は、自分の意思で物事を動かせることに気づいた。なにかを置くためには、イメージが必要だ。イメージといっても、実際の体験にまつわるものしか呼び出せない気がする。


こころの外傷体験にまつわるもの以外も、呼び出せるのか気になる。今後の課題だ。


箱の中に置くものを決めた。


あたたかい毛布を置いてみようと思う。


箱の中は外傷体験で構成されていると以前話したと思う。その外傷体験の渦中にいても、安心できたものがあることに私は気づいた。


それが毛布だ。


箱の中はそうだ、今まできっと寒かったんだと思う。エアコンが箱のなかにあるかは分からないが、エアコンの有無に関わらず私はずっと箱の中で寒かった。


私には箱の中に、温かさとぬくもりが必要だ。


これまで、箱の中に恐怖の感覚だけしかなかったが、外傷体験の中でも、温かさとぬくもりの記憶もあったことや、外傷体験から抜け出した時の温かさやぬくもりや、安堵感を思い出せた。


たぶん、この箱が変容するまであともう少しだ。


この箱の存在自体について少し考えてみた。


この箱は外傷体験の箱であるが、本当にそれだけの役割の箱なのだろうか?


なぜそう疑問に思ったかというと、この箱は私の日常の一部としてすでに機能していて、私の帰る場所になっているのだ。


箱の中は、いつの間にか、アパートの一室のような空間になっていた。出られないだけの何もない空間から、生活を行える空間にいつの間にか変容していた。


それをみて私は、思考を少し変えてみた。


この箱は、ただの外傷体験の箱ではなく、外傷体験で傷ついた自分がしっかり感情や感覚を、こころで、安全に再体験している箱なのかもしれない。


この箱がなければ、現実で、同じことを再体験するような出来事に再び遭って、その出来事の意味を理解しようとする行動に私は出ていただろう。


外傷体験の再体験は前々からあったが、それを減らす役割を担っているものが、この箱なのかもしれない。


この箱の役割について、私はこころの内部の家のようなものだと再定義する。


本物の家は恐ろしかったから、こころの内部に家を作った。家に帰ってやっと休んで、自分の身に起きた出来事を安全に理解する場をこころの内部に設けた。


私はこの箱には、外傷体験のトラウマを再体験するだけの役割ではなく、そんな役割もあったのだと理解した。


その家に、私はあたたかい毛布を置き、毛布で身体を包んであっためているのだから、こころの内部に温かさが戻る前兆なのだと思う。


私はこの箱を嫌ったり、怖がるのではなく、こころの家のようなものだと解釈し、こころの家を排除せず、こころの家を快適にすることで共存しようと思う。


私の中でこの箱について結論づいた。この箱は私にとって生きるために必要なものだ。脳内のもう1つの家だ。


もう、この箱に怯える必要はない。


これからは、この箱と共に生きよう。

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