未知への好奇心

沙華やや子

未知への好奇心

 わたしは変人だ。

 それはなにも今に始まったことじゃなく、子どもの頃からそうだった。恥ずかしい自分、ではなくそんな自分をチャーミングだということにする。


 その行動は物心ついた時分からハタチぐらいまで、いやもっとか、兎に角20代まで続いた。


 辞書、そう! あの分厚いディクショナリーだ。国語辞典の右ページから、適当(だいたい約2~3cmぐらいの厚みになった箇所)に指を入れ、『開いたページは右端から左下まで全文読む』と決めていた。

 

 勉強家だったわけではない。わたしの癖がそんな行動を起こさせたものと思われる。『決めごとを作るのが好き』だった。


 『あと30数えるまでにおトイレを出ないとお化けが出る』という他者(お化け)をも巻き込んでまでのルールは不可解だ。


 それはさておき、辞書が大好きだった。暇さえされば、国語辞典・そして漢和辞典を貪るように愛読していた。それはわたしにとって日常だった。

 テレビをお家でつけている家庭は今でも多いかもしれない。なんとなくみたりするでしょう? そんなノリなのだ、わたしがハマっていた辞書めくりは。

 

 しかし少しは役立っているかもしれない。色んな言葉や漢字を憶えた。


 そうだ! 今こうして書いていて思い出した。

 中学生の時には、英和辞典や和英辞典でも同じことをしていた。

 しかしどちらかといえば、成人しても手に取りがちなのは国語辞典か漢和辞典だった。


 今は何だってインターネットで調べちゃう。

 友とも称せるほどに愛用していたディクショナリー達はどこかへ行ってしまった。たぶん引っ越す際に処分したと思う。


 あのズシッとした重み、懐かしいなー。

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未知への好奇心 沙華やや子 @shaka_yayako

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