やわらかな語り口で紡がれる思い出が、とてもあたたかく心に残るお話でした。
子どもの視点と大人になった視点が自然につながっていて、時間の流れや距離感が無理なく感じられます。
妖精さんの存在そのものよりも、「話を聞く時間」や「一緒に過ごした記憶」が大切に描かれているように思えて、読み進めるほどにおばあちゃんの言葉一つひとつが愛おしくなりました。繰り返される強請りや、少しずつ変わっていく関係性も、どこか懐かしく胸に触れます。
読み終えたあと、思い出は形を変えながら人を支えてくれるものなのかもしれない、そんなことを静かに考えさせられました。
やさしく余韻の残る一編でした。