第5話 元の世界って...
(あらすじ)
一回戦目の相手、
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「対戦ありがとうございました。」
僕は対戦相手に近寄り、お互いに握手する。
「絶対に次は勝ってやるわ。」
「覚悟してなさい。」
捨て台詞を言われ、そのままお互いにステージから退場する。
退場口で、木村が待っていた。
「よぉ。おつかれぇ~」
相変わらず間が抜けそうな声をかけてくる。
「あぁ、お疲れ。」
「...お前、そろそろ試合じゃないのか?木村?」
僕は少し首をかしげる。
「あぁ、何なら多分今から呼ばれる。」
はぁ??????
そして、次の試合の出場選手紹介が始まる。
「お前!早くいって来いよ!!!!」
木村の手を取って、僕は走り出す。
「お前さぁ!なんで俺を迎えるためにこっち来てるの?馬鹿なのか?馬鹿なんだな?!」
そのままの勢いで木村を罵倒しながら、なんとか東ゲートの選手紹介に間に合った。
「がんばれよ、木村。」
僕は木村に精いっぱいのエールを送る。
「おぉ、ありがとうな田中、行ってくるぜ。」
そして木村はそのあと、選手紹介に呼ばれ、猛然と歩いていく。
ちょっとカッコよかった。
そして木村を見送った後、僕は退場口へと移動した。
少し見守っていたが、かなり余裕のある試合展開だった。
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(転生前の話)
僕は、基本的に面倒くさがり屋だった。
よく、物思いにふけっては、自分を卑下し、自虐していた。
親からよく暴力を受けていて、そのたびに、自分が殴られる原因を作っていて、
自分がすべて悪い。親がすべて正しい。そう信じ込み、誰にも言い出せなかった。
一度、虐待を誰かに相談したが、親にバレ、相談してもいいが、俺がいないと生活できないだろと脅され続けた。
保育園の頃には小指の骨を折られる。
小学生のころには、殺すと脅される。
今思っても、悲惨な人生だった。
でも、この世界はすごくあったかい。
元の世界にはいなかった友達がいて、この世界では、親もいない。
正確には、親が僕を捨てただけだ。
でも、施設の先生が親代わりでも、僕は全くコンプレックスに思っていない。
この世界に来て、何度も施設の先生に、心もかなり救われた。
転生前の思っていた当たり前のことが、この世界では当たり前じゃない。
何もかもが、まるで僕の思うような自由な世界で、優しい世界。
世界では、魔界との関係維持のために、全六大陸同士が協力関係を築いてる。
戦争だって、何一つない。
悪いニュースなんて、一か月に一回聞くか聞かないかぐらいだ。
元の世界なんて、今の僕の目から見たら、ものすごく穢れたものに見える。
この世界に来てよかったと切に思う。
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「おーい、田中?」
木村に呼ばれた。
「あ、木村、どうしたん?」
「どうしたもなにも、試合に勝って戻ってきてお前に話しかけたのにお前が全部無視するからだろ?」
僕はずっと考え込んでいたみたいだ。
「ほら、もうこんな時間だぞ?」
木村が時計を指さす。どうやら、もう19時みたいだ。
「田中、そろそろ帰らないと施設の先生にまた怒られるぞ~」
「おう」
そして僕は施設への帰路へ着く。
ああ、本当に、この世界に来てよかった。
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(あとがき)
眠い。
なるべく更新頻度を早めます。
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