ブレストのような感じ?
レルのご両親は……まぁ、普通かな? ブラウンの髪のお父さんの方は口髭を蓄えていて、ちょっと肥満傾向。服装からも力を持ち始めた市民という感じ。
お母さんはレルの遺伝の大元はここか、という感じで髪色はよく似ている。
レルのようにグラデーションのドレスを着ていて、ちょっと
この二人が居間――と思しき広い部屋――のソファに腰掛けて、私の説明を聞いている。
それにしてもソファか。そんな家具があることを、今まですっかり忘れていた。
私の日本での生活では、馴染みのない家具だったしなぁ。
で、レルとリーン女史はその傍らにある、テーブル席に座っていた。私が座るべき椅子もここにあるのだが、今のところ腰を下ろす機会は無い。
ちなみにコーポ家では、まだ靴を脱ぐ文化は侵入してないようだ。
この居間にはあんまり似合ってないから、これはこれで。
そういった状況の中で――
大型熊の存在。そういった熊が現れた理由の推測。
ひいては伯爵が持っているであろう武力を回してもらえないだろうか? という要請。
そのための伝手を紹介して欲しい。
出来ればロート村との連名で嘆願書とか作れないだろうか?
……というあたりを説明させてもらった。
この世界と私の年齢に合わせてアジャストした感じで。多分成功したと思う。
「――少なくとも、あなたのせいではありませんわね。そこは自信をお持ちなさい」
私の説明が一段落したところで、レルがまずそう言った。
それに連れて、大人達も一斉に頷く。
ありがたい話だけど、それは被害が出てないからだ――と思う私がいる。
今回早めに対策に動くことが出来たので、それが幸いしているだけだと私は思っていた。
だが、そういう事でコンセンサスが確立しているのなら話が早い。
「では、ご領主様に嘆願書を――」
「うん、そうだな。さっそく村長と話してみるよ。そちらの村長とも話し合う段取りを――」
「発言してもよろしいでしょうか?」
レルのお父さんとのやり取りで、段取りが出来上がりそうな流れに、リーン女史が割り込んできた。
それも丁寧に。
そう言えば、下位の者は発言するのにも上位者の許可を得なければならないんだっけ?
これは礼儀作法教室で習ったことでは無くて、日本で読んだ漫画からの知識によるものだったけど。
もちろんこの場では上位も下位もない。
しかしながら、あるいはリーン女史が一番上位者の可能性があるので、私とレルのお父さんは同時に口を閉ざし、リーン女史の発言を待つ態勢になってしまう。
「近隣の村でお話し合いをするのは結構なのですが、それだけでは恐らく厳しい結果になるかと思われます」
「え? どうしてですか?」
レルが、子供らしい率直さでリーン女史の言葉に疑問を投げかけた。
それを受けて、中身が大人の私が少し持って回った言い方で尋ねてみる。
「理由をお教え願えますか?」
「ええ、もちろんです」
即座にリーン女史が答えてくれた。
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