命の価値とは……深いテーマと軽快さを持つ唯一無二の物語!

個人の死が尊重されるにまで成熟した社会。
この社会では、人間は死を通して从間というデータ化した存在に移行することができる。
从間となれば、人間だった頃には悩みの種であった容姿や性格も自由自在に変えられるのだ。(値段はかかるが……)
主人公・ソラはそんな社会に馴染めず、生きることへの苦しさと社会への反抗から、怪しげな組織に命を売ってしまう。
命の値段は10億、しかし余命は半年。
高級住宅街に引っ越し、どのようにお金を使うかを思案して過ごす日々。
ある日、老舗のパン屋に入ってお茶を嗜んでいると、席が満席だから相席させてほしい、という女性の声が。
彼女の名はシネンと言い、近くの宝石店を経営しているらしい。
妙に惹きつけられたソラは、彼女に率直にそう伝えるが……。

命の価値とは……本作を通して、ずっとこの問題が心に重くのしかかっておりました。
ソラは社会に対して不満があり、物語冒頭から己の命を手放す選択をしてしまいます。
かなり論理的な思考の持ち主で、自分の主張を一貫させるために、从間という生き方は選ばず。
この決断は正しいことなのかどうか……それがとても悩ましい。
早まった真似を!という思いも抱きつつ、自分自身で決めたのならそれを尊重せねば……という考えも心のどこかに浮かんで参ります。
(いや、やっぱり止めたい!)

このような深いテーマでありながら、物語そのものはとても軽快に展開していきます。
主要登場人物も数人におさまり、その一人一人の個性が強くてとても面白いです!
从間となった友達・ミナトとのやり取りは楽しく、また宝石店でのシネンとのやり取りには、日々生きることのワクワクした感じを得ることができました。
その中でソラは成長していくのですが、それ故にあの選択がもどかしい……!

ソラの生き方をどう捉えるべきか、ぜひともご一読の上、お悩みいただきたく存じます!

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