第4話 ユニットバス
食後に軽くお茶を飲み休憩してから、二人はシャワーを浴びることにした。
「うち、ユニットバスなんだよね。エリザちゃんからするとすごく狭いお風呂だと思うけど……」
「構わないのじゃ」
トイレとお風呂が一緒になったこじんまりとした空間。脱衣場がないので服は部屋で脱ぐことになる。
「綺麗……」
「どうしたのじゃ?」
「いや、なんでもない! なんでもないよ!」
特に恥ずかしがることもなく服を脱いだエリザベート。その肌の美しさに千夜子は思わず目を奪われた。
「心配するな、我は誰かと入浴することに慣れておる」
「そっか。エリザちゃんは魔界ではお姫様だし、メイドさんが身体洗ってくれたりするのかな?」
「うむ、そのとおりじゃ」
「なら今日は私が洗ってあげるね」
「そ……そこまでしなくてもいいのじゃ。自分でできるのじゃ」
「遠慮しないで。慣れてないとユニットバス使いづらいと思うし」
千夜子も服を脱ぐ。
「カーテンを閉めるのじゃな。面白いのじゃ」
「トイレ濡れちゃうからね」
二人で湯の入っていないバスタブの中へ入り、シャワーカーテンをひく。
「人間はかしこいのじゃ」
「じゃあ、私先に髪洗っちゃうね。顔に泡が飛んじゃうといけないから、後ろ向いてて」
ザアッと頭から湯を浴びる千夜子。その後シャンプーを手に出し少し湯で馴染ませてから、シャワーをエリザベートに手渡す。
「寒くならないようにシャワー浴びててね」
「ありがとうなのじゃ。のう千夜子、泡が顔に飛んでも構わないならそっちを向いててもよいか?」
「え? いいけど」
エリザベートは嬉しそうな顔で、頭を洗いはじめた千夜子のほうを向く。
「近くにいるのに背中を向けるのは寂しいのじゃ」
「ありがとう」
一人だと味気ないユニットバスが、今日は少し華やいでいた。
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