エピローグ

西暦2200年。

地球は再生の時代を迎えていた。


少年の名はアオ。

まだ若い科学者で、古いデータアーカイブを研究していた。

その中で、奇妙な記録を見つける。


“量子共鳴実験ログ・被験者名:星野リョウ/セラ・ユグド”


アオは驚いて息を呑む。

記録には、ふたりの意識が時を越えて繋がった経緯が詳細に書かれていた。

だが、最後の行には、ただひとことだけ残されていた。


『青い空の下で、愛は時を越えた。』


アオは空を見上げた。

そこには、澄んだ青が広がっていた。


「……青い空。これが、彼らの見た“愛の色”なんだな」


彼の胸の奥で、何かが共鳴した。

その瞬間、アオの視界の中に光の粒が流れ込む。

そして――彼は、誰かの声を聞いた。


『……ありがとう。私たちの“記憶”を、見つけてくれて。』


「誰……だ?」


『時を越えて伝わる、想いの声。あなたが次の“未来”を創るのよ』


アオは微笑み、ノートを閉じた。


「……了解だよ、リョウ。セラ。今度は俺たちが、未来を愛で満たす番だ」


空の向こうで、微かな声が響いた。


「――リョウ、見て。未来、ちゃんと続いてるよ」

「ああ。これでいい。俺たちの物語は、終わらない」


風が吹く。

光が舞う。

そして、世界のすべてが、ひとつの歌のように重なっていく。


――愛は、時間を越える。

それは、最初の約束であり、永遠の祈りだった。


青い空の下で、

ふたりの記憶は、静かに未来へと息づいていた。

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時の果てで、君を待つ 無咲 油圧 @sora112233

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