かんどうこわい ~“感動”を避け続けて10年が経ちました~
浦松夕介@『エソラ』毎日18:05更新
第1話 感動したいから買いはする、でも感動しそうだから読みはしない。
こんにちは、浦松夕介と申します。
タイトルの通り、私は“感動”するのが苦手というお話です。
誤解されないように前置きさせていただきますが、「最近のお涙ちょうだいストーリーの感動ものはくだらんわいっ」みたいな評論エッセイではありません。
あるいは寝てない自慢するみたいに、「昨日の金ロー映画、お前らは泣いたかもしんないけど俺は感動しなかったぜ?」みたいなマウントエッセイでもありません。むしろ逆で、「この状態そろそろなんとかしたいなぁ」という思いです。
私、“感動”したいんです。だけどこの“感動”を恐れるようになってしまったというお話でして。
まんじゅうこわい、でも食べたい。かんどうこわい、でも小説とか映画見たい。このニュアンスで合ってるか怪しいですがそういう感じかなぁ……。
こういう言い方は軽々しくしてはいけないので多用はしませんが、本当に大げさにいうなら「感動恐怖症」になっているのかもしれません。2015年ぐらいからこの感じになったので、10年間こういう感じが続いてるように思います。
さらに付け加えると、小説や漫画などフィクショナルな作品によって得られる感動を怖がっている気がしますね。ノンフィクションやドキュメンタリーは普通に読めるし、なんだったら感動します。『ドキュメント72時間』とかめっちゃ面白い。
そういう感動は私の中の関所を通るみたいなんです。「よし通れ!」と。あと綺麗な夕焼けとか星空とか海とか、自然なものにも感動する。
逆にあかんのが、めちゃくちゃ感動できるようなフィクション作品です。「貴様は“感動”だな! 通さん!」ってな具合です。感動しそうな予感がする作品は関所を越えられず、ずっと積読のまま本棚に収まり続ける。ちなみに私は買った本や読んだ本を某読書アプリで管理しているのですが、積読は500冊以上あります。小説・漫画含めてです。YABAーI。
他にも未消化のままの“感動”はありまして、アニメのDVDボックスや積みゲーも多い。せっかく買ったのに、これらを手に付けることができずに10年経ったやつもある。昔に『ヒロアカ』1巻の初版第1刷を買ったんですが、それを読む前に連載終わっちゃった……。
感動したいから買いはする。でも感動しそうだから読みはしない。あれ、文字に起こしたらなんか余計ヤバいやつに見えるな。まぁいい進めます。
あ、ちなみに日常系みたいな感情を揺さぶられない作品は小説だろうと漫画だろうと普通に見れます。というかむしろ好んで読んでいる。
それからストーリー性のない単純作業ゲームとかもほぼ毎日やってる。というより、途中でストーリー進行は放棄してレベル上げやら素材集めに精を出すようになりますね。だってストーリー進めたら“感動”しちゃうかもしれないし。だから私の『ブレワイ』は一生終わりません。ミファーの章はマジで感動したけど、同時にあのレベルの
こう書いていると、こうなった原因はすでにわかりきっている気もする。ちょっと前にネットミームでよく見かけてた暴言博士に相談すると、たぶん下記のように言われる。
Q. 先生、僕はどうして“感動”したいのに、“感動”を避けてるんでしょう?
A. ただ疲れてるだけですね、はい次の方ー
こう書くと身もふたもないけど、まぁ疲れてるんだろうな。でももう少し掘り下げてみようと思います。
ここまで書いて、いろいろと疑問が浮かびます。じゃあいつになったらこの感じが終わるのか? どうやったら終わらせられるのか? そもそも別に無理して感動しなくてもよくないか? だいたい“感動”を避けてるようなやつが、なんで小説を書いてるんだ?
……とかですね。そういうこと、つらつら書いていこうかと。あと先んじて答えますと、感動恐怖症の私が小説を書いているのは、『自分の作品なら感動できるし、そこで得た感動を起点に他作品でも感動できるようになりたいから』だと思います。
需要があるかどうかはわかりませんが、同じようなことで悩んでいる方がいましたら、何かの参考になればと思います。いやでも、そんな人いるかなぁ……?
まぁ過剰に深刻には受け止めなくて大丈夫ですので、少しお付き合いいただければ幸いです。私も書きながら、“感動”とは何か自分なりに考察してみようと思います。
最後に、たぶんこのエッセイで”感動”することはないと思いますのでそこだけご容赦を……。
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