播磨の男、異世界に転生して陰陽道に従う語

ますー

前書(プロローグ)

 昔、播磨の吉野伊巳よしののただみという男がいた。


 彼は不慮の事故によって齢二十二にして死んでしまった。そして彼は閻魔の審判により、奇怪な世界に送られてしまった。


 彼は悪魔と呼ばれる怪異と人間の間に産まれた子として育ち、やがて悪魔の奇怪な術を身につけた。


 吉野伊巳は、前世のその名前を捨てて、フラレという名前をつけられて、大層親の寵愛を受けて育てられ、やがては悪魔の王に奉公する存在として重宝された。


 その折、フラレは悪魔の王に談判した。


「王さま。私はこの力を世のために使いたいのです。なので、私はこの悪魔の国を出て、旅に出たいと考えております。」


 フラレは身につけた力を、悪魔、人、問わずに皆のために使いたいと考えた。王はそんな生やさしい考えに憤怒するかと思いきや


「なるほど。フラレ、その甘い考えはいつか身を滅ぼすだろう。だが、お前のような優秀な人間を失いたくはない。人間世界の情報を集めて、我に献上するならば出国を許そう!」

「あら、たふととおと。(ありがとう。何という尊いお方だ。)」


 異世界にはない言語で感謝の意を示し、フラレは放浪の旅に出た。

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