第18話後 想定外だったんかよ!

「お初に、魔法少女の御一行。僕はドグラ・マグロ。ドグちゃんと呼んで欲しいトロ」


ドグラ・マグロはそう言って不敵に笑う。


「また新手の魔物とやらか」

ドラゴンハンバーグ忍者は超ハイパー…なんちゃら剣に手をかける。


「まあ待つトロ。僕らも魔物30体も投入して勝てないのが分かってて戦いを続けるほど愚かじゃないトロから」


「じゃあ何しに来たんスか」


「んー自己紹介…?いや違うトロねぇ…まあ宣伝ってところトロね」


「宣伝…何を?」


「何って目の前にいるトロよ。その試作願望機兵1号の事トロ。」

ドグラ・マグロは忍者を指差す。


「本名いかついッスね」


「試作願望機兵とは何トゲ?」


「まあゆっくり聞くトロよ。今プレゼン出すからちょっと待ってて欲しいトロ。」


ドグラ・マグロはプロジェクターを何処からともなく出しセッティングを始めた。


「間が保たないから資料なしでさっさと話すトゲ。」


「仕方ないトロねぇ。願望機兵とはこれの事トロ。」

ドグラ・マグロが取り出したのは見覚えのあるビー玉だった


「あっ!あれドラゴンハンバーグ忍者が出て来る前に光ってたやつだ!」


「第一に、魔法少女や怪人が強力たる所以ゆえんは憧れや変身欲求などの『願い』を燃料にしてるからトロ。

この玉は人間の願いを吸収して望まれた姿に変形するトロ。そして玉自体に自我は無いトロから簡単に操れるトロね。」


…こいつアーちんより説明してくれてるな。


「そうして出来た怪人と互角以上の新たな戦力、それが願望機兵トロ」


「願いを変換トゲ?そんな大それた代物何処で…まさか」


「ご明察、魔法ステッキの精神エネルギー変換機構を改造したらなんか上手い事いったトロよ」


偶然の産物ではあるのかよ。


「それで試験的運用としてとりあえず願い事が単純な人間の多そうな小学校に投下してみたらこうなったトロ。」


ドグラ・マグロは呆れた顔で忍者を見る。


「このドラゴンハンバーグ忍者にその様な生い立ちがあったとは…」


「ドラゴン、ハンバーグ、忍者、確かに小学生の願いそうな物ばかりトゲ。」


「なんで足し算されてんだよ」


「試験的に色んな願いを吸収させ過ぎたトロからね、おかげで何故か自我が芽生えててコントロール不能トロ。なんなんこいつ怖」


「想定外だったんかよ!」


「つまり結局拙者は何なのだ」


作った人がよく分かってないから割とお手上げだ。


「もう皆の願いで小学校を守るヒーローって事で良いんじゃないっスかね」


黄間さんはかなり前からどうでも良さそうにしている。


「成程、魔の物よ!このドラゴンハンバーグ忍者は貴様らの思い通りにはならん!!!」


「まあ良いトロよ今日はそれだけ伝えに来たトロから。」


「ところで、なんで敵にこんなに情報送った訳?」


「宣伝と言ったトロ。僕ら魔物はこの願望機兵を既に町中にばら撒いているトロ。いつ爆発するともしれない『願い』に怯えて暮らすトロ。」


しまった、ちゃんと悪い魔物だった。


「それじゃさよならトロ」


「待てい!」

忍者が斬りかかるが、ドグラ・マグロが闇に消える方が一手早かった。


「おのれすばしこい奴…」


「えっと…どうするこれから」


「中々大事になってきたトゲね」


「まあ一旦支部で報告ッスね」

アーちんと黄間さんは帰る準備を始めている。


「待たれよ。」

忍者が引き留めた。


「今の奴の言う事がまことであるなら尚更あの魔物とやらの事を教えて貰わねばならぬ。」


「そうだったトゲね」


色々起こり過ぎて忘れていたがそういえばそう言う約束だった。でもさっさと帰って報告もしたいんだよなぁ…ずっと立ち話してるし。


と、そこでふと閃いた。


「あそうだ!ドラゴンハンバーグ忍者さんも魔小連支部においでよ。すぐそこだしさ!」


_____________________

続く

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