第14話 核の新たな可能性
辺境伯領の広い庭に、朝の柔らかな光が降り注いでいた。
花々がそよ風に揺れ、木々の葉が光を反射する中、フィオナは薄手の実験用マントを羽織り、机代わりの台に並べた再利用核と装置の前に立っていた。
ずっと核の研究をしてきたフォオナ
「……まずは光の確認……成功です。ですが、まだ眠れる核は他にもあるはず……」
アメジストの瞳は輝き、淡い銀髪は朝日で柔らかく煌めく。
小さな手で装置を操作しながら、彼女の声には興奮と知的好奇心が混ざっていた。
庭の少し離れた場所で、エドガーは黒髪に光が反射し、金色の瞳で彼女の動きを見守る。
「……危険は確認したのか?」
低く、しかし優しさを帯びた声。
フィオナは微笑んで敬語で答える。
「はい、エドガー様。ですが、そばにいてくださると心強いです」
まずは光の実験。核に手をかざすと、微かに揺らめき、やがて柔らかな光を放つ。
「……成功です!」
フィオナは喜びの笑みを浮かべ、目を輝かせる。
次に、少し装置の設定を変え、核の熱を測定する実験。
「……温かさも発生しています……これなら小規模な暖房装置として利用できるかも……!」
小さく跳ねるように喜ぶフィオナに、エドガーはそっと近づき、肩に手を回す。
「……無理はするなよ」
低く囁き、優しく抱き寄せる。
フィオナはほんの少し身を寄せ、胸の奥が甘くなるのを感じた。
次は振動の実験。核から微弱な振動を発生させ、土を柔らかくするなどの応用を確認する。
小さな振動に、フィオナは驚きつつも目を輝かせ、
「……小規模の工事や農作業にも使えるかもしれません……!」
と独り言のように呟く。
エドガーは笑みを浮かべ、またそっと抱き寄せる。
「……お前は本当に、いくつもの可能性を見つけるな……」
さらに別の核で光と熱、振動を組み合わせた実験。
光が揺らめき、温かさが広がり、微弱な振動が土や草に伝わる。
フィオナは両手を広げ、目を輝かせて叫ぶ。
「……すごい……こんなに色々できるなんて……!」
しかし、小さな失敗もあった。微量の振動で設置した装置が少しずれ、核が少し跳ねたのだ。
「きゃっ……!」
フィオナは驚き、慌てて核を押さえながら、少し赤面する。
その瞬間、エドガーは笑みを抑えながら、腕を伸ばしてフィオナを抱き寄せる。
「……大丈夫か?」
「……はい、エドガー様、ありがとうございます……」
胸に顔を埋めながら、安心感と甘さを感じるフィオナ。
朝の光に照らされた庭には、再利用核の柔らかな光も重なり、幻想的な雰囲気が漂う。
フィオナは装置を調整しながら、次々と実験を繰り返す。
エドガーは後ろから優しく抱き寄せ、手を添えて見守る。
時折、フィオナが驚いたり歓声を上げると、彼は微笑みながら軽く肩を抱き寄せるのだった。
「……お前の探究心には、毎回驚かされる……だが、危険なことはするなよ」
エドガーは胸にそっと抱き寄せたまま囁く。
フィオナは頷きつつ、胸の奥が甘く温かくなるのを感じる。
数時間にわたる実験の末、光、熱、振動のすべてで成功を収めたフィオナは、満足げに息をつく。
エドガーはそのまま腕を回して抱き寄せ、額に軽くキスをする。
「……ありがとう、フィオナ」
彼女は目を閉じ、柔らかく微笑む。
再利用核の光が二人を優しく照らし、庭には甘く穏やかな時間が流れた。
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