むしろ慈善事業がしたい

@shizuku_shiono

第1話 彼女はしゃべらない

 栄応大学に入って、生まれて初めて一目惚れをした。テキトーに選んだ中国語のクラスで、隣の席になった彼女――上月紫苑を見た時、世の中にこんな透き通るように綺麗な子がいるのかと、二度見ならず、三度見するぐらい、心惹かれてしまったのである。

 どんな人なのだろうか。どんな声で、どんなことを話すのだろうか。それが知りたくて彼女が話すのをずっと待っていたけれど、彼女は一向に口を開かなかった。そう、彼女は本当に“しゃべらない人”だったのである。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る