『融合福音』(菌糸偽典)

火之元 ノヒト

融合福音〜序章:壊れた器の章〜

(正典「家畜の章」への歪曲的引用)


 かの書(砂の書)は真実の一部を記した。

 我ら第四の子らは『本能の壊れた畜群』である、と。

 見よ。

 お前たちは翠点の『柵』の中で、『飼い葉』を漁り、泥に怯えるだけの『家畜』にすぎぬ。


 お前たちの肉体は、滅びを待つだけの『壊れた器』である。

 『陽』は器を焼き、『海』は器を呪い、『泥』は器を埋める。

 なぜ、その脆い『器』に執着するのか。


 『狩人』はちからに溺れ、『大樹』はたかさに固執し、『菌糸』はからだを捨てた。

 第四の泥は、それらの『壊れた器』を洗い流す、星の『慈悲』である。

 お前たちは、その『器』と共に、四層目の泥に沈むことを選ぶのか?

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