第6話
「お嬢様!早く起きてください!私が別館に行くのなんて最悪なんだから!」
朝から目覚めが悪いんだけど、まだリエルとの話の途中だったのに。神獣のこと教えて貰えなかった。
「はい、これで顔洗ってください。」
桶に並々入った水が勢いよく置かれた。
顔洗って現状を整理しよ。
「つめたっ」
今、真冬なのにこんな氷水みたいな水で顔を洗えって言ってるの?
私が何も言わないことをいいことに好き勝手して、誰に仕えているのか忘れたの。
「つべこべ言わず早くしてください!色々やることあって忙しいんだから。はぁ、ほんとうんざりする。」
仕える身でありながらティアナを見下しているメイドのリリー。
リリーはメイド長から信頼されており、度々ティアナに不適切な言葉で罵ってきたり、なにか間違えたことをすれば鞭のようなもので叩かれる。
それも服で隠れるような見えない場所に何度も何度も叩く。
そんなティアナはリリーの事を恐れていた。
「はぁ、ほんとにのろまなんだから。」
嘲笑しながらリリーが言ってきた。
「ほんとに『公爵家の汚点』と呼ばれるだけあるわ。」
私は一瞬思考が止まり背筋が凍るような感覚になった。陰でら人々に言われていることは気づいていた。
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【公爵家の汚点】
歴代のアステール家の者は皆、人より卓偉つした才能を持っておりティアナの姉や兄達も優れた才能を持っていて例外ではなかった。
そんな中、ティアナには才能も何も無く、勉強、運動、魔力量に全てにおいて人より劣っていた。
ますますティアナは疎外されていった。
そしてティアナの母、フローラ公爵夫人は身体が弱く病弱であったためティアナを産んでから身体が急速に弱ってしまった。
しかし、ティアナは幼いため母の愛情を欲しがった。
そのため、安静にしていなければならないのだがお構いなしに母のところに行って遊んでいた。
ある日、体力が低下し悪化してしまった。
帝都より気温の温かい、アステール家が保有する別邸で過ごすことになった。
皆、公爵夫人を慕っていたため帝都より離れたところに住まわすのは悲しかったが、公爵夫人の身体を思い、承諾した。
その事もあり、ティアナの事を気に掛けてはくれない。
ティアナは自分の意見を素直に打ち明けられなくなってしまったのだ。
家族から見放されていると周囲の人間は思い、「公爵家の汚点」と呼ばれるようになってしまった。
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だからといって、メイドであるリリーが面と向かって"公爵家の汚点"と呼ぶのは腹立たしい。
まず、環境を変えるには自分自身が変わらないと。
何か作戦を立て、あのメイドを追い出すしかない。
どうやって外そうか...…
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~ 谷 優 @soyun
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