第3話
そんな中、唯一の娯楽だったのが小説サイトで配信されている、
【貴方に愛されて幸せです!】
この小説が大好きだった。
この小説は、人からの愛を知らずに育ち感情が欠落した残虐さで【悪魔】とも呼ばれる異名を持った、
主人公第一皇子フェリオ・ジェ・リオス。
ある日、襲撃されて重症なフェリオを偶然森で出会ったアステール家の公女エリー・アステールが看病した。
エリーには特別な治癒の力があったためフェリオの回復が早かった。
フェリオは初めは警戒していたが真剣に看病している姿を見て次第に心を開くようになった。
二人は運命的な出会いを果たし、互いに愛し合い婚約を結んだ。
しかし、悪役であるアステール家の末の娘ティアナ・アステールはフェリオの事を想い続けていた。
ティアナは幼い頃から姉のエリーに勝るものは何も無く度々嫌がらせを行ってきた。
大人になるにつれ非道さが増し、
【公爵家の汚点】と呼ばれ皆から煙たがられていた。
家族すらも。
自分の想い人ですら、エリーに取られてしまう。そんな思いが募り殺害を決行。
毒で侵して殺そうとしたが、エリーには治癒の力があったため解毒され失敗に終わってしまった。
そして、第一皇子であるフェリオがエリー殺害未遂の証拠を提示。
未来の皇后陛下に対する国家反逆罪とみなしティアナが20歳になった時に処刑される。
エリーは全て生きているものに慈しむ心を心を持っているため国民は皆エリーの事を支持していた。
そのため、ティアナの処刑は皆が賛同し国民の集まる広場で決行されたのだった。
悪役であるティアナが破滅し、国は祝福に見舞われフェリオとエリーは結婚をし生涯幸せに暮らす。
という話だ。
私は、エリーが様々な苦難をフェリオ、仲間と乗り越えて幸せをつかみ取るそんな話が好きだった。
中でも、悪役であるティアナの最後はとても気持ちが軽くなったし何しろ読んでいて気持ちが良かった。
私はこの小説を休憩の度に読んでおり、受験が終わる少し前に完結した。
受験が終わると外伝がはじまり、待ちきれず合格祝いとして課金しようとコンビニまで徒歩で移動した。
その帰り道、受験も合格し外伝も始まると聞いて気持ちが弾むような感覚で歩いていた。
大学生になったからにはやっぱり恋愛が1番したい!カッコイイ彼氏を作って青春を謳歌したい!
しかし、私は周りを見ておらずトラックに轢かれてしまった。
受験も合格してやっとあの家から出ていけると思ったのに...…まだ死にたくないよ...…
そう強く思い、意識が遠のいて行った...…。
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そういう事か。
私、小説の「貴方に愛されて幸せです!」の悪役令嬢ティアナ・アステールに転生しちゃったんだ。
ティアナの最後は処刑される運命だ。
うわぁぁぁーん。私の人生、波乱万丈すぎるよぉぉ。もう、みんなからの私のイメージは最悪だし、どうすればいいのよぉ。
でも、今の私の年齢は8歳。
少なくともあと12年はある。
まだ死にたくない!!
この12年間でどうにか破滅する未来を避けないと。
何から始めればいいの。
少なくとも、フェリオに気持を抱くことはないと思うし。だって私のタイプとかけ離れているから。
いきなり記憶が戻っても何すればいいのか。
『やっと思い出してくれたね。』
後ろから声が聞こえた。
え、、、誰なの?
パッと振り返るとそこには、輝くような金色の髪に澄んだ空のような碧眼。
とても美しい容姿をした少年がこちらを見つめていた。
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