第2話
本を開けた瞬間、脳内に様々な情報が流れる感覚がした。
急に頭が激痛に襲われた。
うぅ、、、気持ち悪い、、
──────────────────
何だろうこの場所。
この街並み見た事ある。
【 只今より合格者を発表します。受験者の皆様はお集まりくださーい。】
女の子が風と共に私の横を通り過ぎた、後ろに背負ってるカバンには合格祈願の御守りがついていた。
この子知ってる気がする。なんとなくだけど目を離したらいけない気がする。
『うぅ寒い。合格して欲しい。』
手には、佐藤柚という名前と番号が書いてある受験票を持っていた。
この時私が持っていた番号は11226だったはず。
わ、たし?どうして今、【私】って思ったんだろう。
『11226、11226、11226...あっあった!
あった!やった!』
『うぅぅ良かった。良かった。やっと、解放される───』
柚は涙を流して喜びを表した。
柚は合格した。そして次に私が言う言葉は
「やっと自由になれる。──」
『『やっと自由になれる。』』
そうだ。そうだった。この子、柚は、佐藤柚は、
【【【 私だ 】】】
思い出した__。
当時の私は18歳、大学受験の合否のため地方から都内に移動してきた。
私には夢があり、小説関連の出版社に就職することだった。
自分が好きな小説の多くは大手出版社な為、就職するのに有利な有名大学にて文系学部に在籍する必要があった。
私の家は、他の家庭より経済的に困っていた。母はシングルマザーとして私を中学2年生の頃まで女手一つで私を育ててきた。
そんな時に、母の働いているカフェに客として来店していた男の人と再婚し、
その当時は家族円満でとても楽しく過ごしていた。
だがそれから1年後、父が就職していた会社は倒産。
その時から、楽しかった生活は一変した。母は朝早くから働き夜遅くまでパートとして働き、父はなかなか就職が決まらずお酒やパチンコでお金を注ぎ込んでいた。
パチンコに負けたり、お酒を大量に飲むと父は私たちに暴力を奮ったりしてきた。
母は私を守ってくれ、なんとか生活を続けていた。
そんな母は高校生に上がった時に過労で亡くなってしまった。
父は葬儀には出席しなかった。ただ道具としか思っていなかったのだろう。
私は父を憎んだ。
それからというもの、様々な手当を受け生活をやりくりした。
私は学費、生活費を稼ぐために学校が終わればバイトに時間をつぎ込み給料を父に取られることもあったが、なんとか貯めることが出来た。
父がいるあの家にいたくなかった地獄のような毎日を送っていたあの家には。
だから寮のある国立大学に受験しなければならなかった。
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