第1話
「お嬢様こちらがお嬢様が過ごす別館でございます。」
執事のクロノが申し訳なさそうに案内してくれた。
クロノは誰にでも優しく私をよく気遣ってくれた。
「申し訳ございません。空いているメイドがいましたら、掃除させるように指示致しますのでもうしばらくお待ちください。」
私が使う部屋だけクロノが1人で掃除してくれたようだ。クロノは他の使用人よりも仕事量が多く有能なため忙しい。
そのため一部屋しか掃除ができなかったのは当たり前だ。
本館より少し離れた場所にある別館は見た目こそ綺麗だが中は手入れがされていない状態かのように思えた。
装飾品にはホコリが被っており、窓が少ししか設計されていないため光が差し込みずらく肌寒く湿った空気間が漂う。
あまりにも酷い状態であり、子供が過ごすような部屋ではなかった。
「私こんな部屋嫌だ!お父様に本館に戻れるように言ってくる!」
「お嬢様。只今公爵様はお忙しいのでそちらに行かれるのでしたら、後ほど伺うのが宜しいかと思います。」
事を大きくなる事を防ぐために
クロノはそう言い、ティアナをなだめた。
その夜、私は悲しくて、悔しくてぐちゃぐちゃな感情になった。
私のせいじゃないのに、お父様は事情をいつも聞いてくれない。
お姉様ばっかりずるいよ。
どうしていつも、私のところに来てくれないの?なんでよ...
ベッドの上で私はうずくまって泣いていた。
自分は悪いことをしていないことを説明しようと考えながら。
お父様が来る事を信じて...
結局らお父様は私の元には訪れなかった。
いや、今までの一度もなぜそのような事をしたのかを聞くために訪れたことがない。
私は、悲しみに暮れ泣いて体力を消耗したからか、そのまま寝てしまった。
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「ここは、どこ?」
辺りを見渡すと、白い風景に一辺に広がる程の本棚がある。
隙間なく全ての棚には、背表紙がそれぞれ異なる色で赤のものもあれば水色、黄色、緑など様々な色が置いてあった。
あれ?これだけ他の本と違って真っ黒な本だ。
思わず、不思議な黒い本を手に取った。
本の題名には
「3月20日 18歳 佐藤柚」?
リオス語では無い文字で書かれてるよね?
見た事がない字だけどなんで読めるんだろう、誰の本か分からないけど読んでもいいのかな。
少し怖い気もしたが好奇心に負け、中のページをめくってみた。
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