第37話:コール


 場面は午前五時三十分の第二兵器庫。約六ヘクタールもの総面積を誇るそこには、魔術と超能力と銃弾による鉄火の嵐が吹き荒んでいた。国境なき守護者側の後ろには彼等の輸送船がフォースフィールドに阻まれながら、空中に待機している。機体の端々には銃撃を喰らった痕と分厚く吹き上がる黒煙が見える。前方には夥しい量の敵が無尽蔵に現れていた。


 ――炸裂するは魔力の塊。耳を劈く轟音と共にアルベルト・フォン・グラハムが雄叫びと共に駆ける。彼が相手にするのは複数の五m級のロボットだ。グラハムはその鋼鉄の騎兵達の陣形間を駆け抜け、まるで格闘戦を行う様に衝撃を与え圧壊させていく。


「オオオオッ!」


 無数の銃弾を紙一重で回避し、自分目掛けて襲い掛かる雲霞の様なミサイル群の一画を魔力で掴んだ後、まるで石を握った拳で殴る様にそれをぶつける。ぶつけられた一団はその場にいた十数体丸ごと滅壊し途端爆炎の舌に舐めとられる。自分に向かい手にした斧で襲い掛かる一機の足場を崩し、まるで柔道の払い腰の様に右に回した後、そのままジャイアントスイングの様に投げつける。


 後方に被害を出さない事も忘れてない。グレイプニルと彼がそう叫ぶと、他のミサイル数十基を糸状にした魔力で全て括り拘束する。指を弾くと同時に火魔法を起動させ着火。そのまま空中で爆発させ処理する。爆炎と轟音を吹き荒ばせるその戦い方は、最早魔法使いというより災害に近い。


「――」


 そしてグラハムの遥か後方ではピーターがQueenの『Don't stop me now』を口ずさみながら、愛用のライトガン二挺を駆使し魔術を使っていた。


「――」


 右のを撃ち、時間を停滞させる箇所を作る。それは騎兵達の進行方向上であり、足を踏み入れた六機は瞬間まるで彫像の様に凍りついた。すかさずグラハムが衝撃で薙ぎ払う。六機はまるでビル破壊鉄球にぶち当たったかの様に数多の破片を撒き散らし吹き飛ぶ。

 左のを撃ち、異次元ローブの中に入れた弾薬を味方側に出す。腰に吊ったテスラコイルはのお陰で彼から半径十mの間は空間転移魔術は使用出来た。しかし、それは彼にとっては依然大きな制限をかけられている事に変わりない。薄紫の瞳はある一点を見つめている。それは全長九mもの黒い軍用トレーラーに牽引された装置だった。装置の大きさは約十m、様々なケーブルが剥き出しになり三m程の塔の様なアンテナからは蒼白い電流を放っている。確実にアレが邪魔をしているが、さりとて迂闊に壊す事は出来ない。何で動いているかが問題だ、もしも核動力ならグラハム以外ただじゃすまない。


「アレなんだっけ? スタートレックじゃないし、ドクター・フーでもない」


 ピーターがそう言うと、彼の周りにいる仲間達が次々口を開いた。


「X-MENシリーズじゃないか?」

「いや、俺はMCUの何かじゃないかと思う」

「私、DCじゃないかと思うわ。黒いし」


 ピーターの目測だと、アレは流れ込んだガジェットというより、流れ込んだ物を解析し再現したガジェットに思えた。あれは観客が見る事を意識したデザインではなく、機械を稼動させる事を第一に考えた結果そうなってしまったデザインだ。しかし、そこには明らかに作品由来の元ネタがある。そして自分はそれを知ってる筈だ、確かテレポーターが出てくる話で……。彼が考えを巡らすその時、仲間の一人がこう言った。


「なぁ、アレってドラマ『ジョウンツ』の『Q-St』じゃない? ほら、シーズン3でマクレガー少佐が主人公追い込む時に使った」

「それだ!」


 ピーターは叫ぶと、答えを言った彼に話しかける。

SFドラマ『ジョウンツ』は瞬間移動能力者とそれを取り締まる捜査官をテーマにしたドラマである。製作はBBC。シーズン数は五と少なく、俗に言う所の打ち切りにあったドラマだ。

ピーターも『アメリカン・ウィザードテール』内で『もしこれがドラマだったらジョウンツみたいにシーズン5で打ち切りだな』と言って一応視聴してた事を言及している。


「『Q-St』って確か最後は少佐と共に、主人公から投げられた爆弾詰めたバッグが爆発してぶっ壊れてたよな!?」

「あぁ、あの時見てて思ったよ。特にバリア張ってた訳じゃないのか、しかも爆発ショボイなって……」


 それだけ聞ければ十分だった。彼は手甲を操作すると自らの時を加速する。アプリを起動させ、ボタンをタップしただけで世界全ての変化は彼より遅くなった。弾丸は亀よりも、砕け散る破片は水飴の中に落としたコインよりも。その中を彼は駆け始める。周囲の人間には恐らく蒼い閃光が走った様に見えただろう。

 ――この時代において、戦場は様々な技術が入り乱れ三次元化・深層化する状態を、何とか制御を重ね二十一世紀初頭の様な平面的な交戦状態に戻すかが重要である。故にピーターの様な前衛と後衛、斥候や兵站という概念を崩す空間移動能力者への対策は重要なのである。そして、相手に使わせず自分達が使える状態にする事も。


「おっと、忘れ物」 


 そう言って彼は一度自陣に戻ると、味方達のベストから計八個の手榴弾を取るとローブの異次元と繋がってないポケットに入れた。この世界では光すら遅い。魔術を使っても広がり効き始めるまでが長く、箒を出して乗っても自分の足で走った方が速いので彼は走る。ピーターはスローモーションで広がる爆風や銃弾の中を駆け抜ける。途中、彼に察するも一手遅かった高速移動能力者であろう少女がいたので、彼女に対し一度振り向くと右手人差し指を指してこう言った。


「君の一番と比べられて光栄さ」


 その悔しそうな顔を尻目に彼は踵を返し、目標の装置へ向かう。グラハムが放り投げた五mの人型兵器の下を潜り、銃弾の雨を横切る。ついでに幾つかの敵兵の足元に時間停滞を撃っておいた。彼等の足元には水中の泡の様にゆっくり魔術が広がっていく。本当なら味方に加速を打ちたい所だが、生憎距離が遠過ぎたので諦めた。

 そして彼の前に密集した騎兵の残骸が立ちはだかるも。


「必殺、俺の元ネタって噂のクイック・シルバーがX-MENアポカリプスでやってたヤツ!」


 残骸が塞ぐ道をそう言って壁を走る事で超え、舞散る破片を階段の様に駆け抜けた。そして『Q-St』に辿り着いた時、彼は即座にポケットの手榴弾のピンを全て引き抜くと機械に放り投げる。全弾炸裂し、爆炎が蒼い光を掻き消したのを見た後。彼は直に右の一挺で足元に自陣への穴を作り、一拍置いて左で爆発する装置の真横に穴を作る。作った穴は敵陣中央に繋がっており、爆発を活かし敵を巻き込むつもりだ。そして彼は手甲操作しアプリを切った。


 ――全てはその一瞬で戻る。時は循環し、物理現象は一斉に固有時を取り戻した。

 銃弾と爆風は再び吹き荒れる。Q-Stの爆発が真横の穴を通じ敵中央に爆発する。各所で時間停滞が発生し、複数の敵がその場で硬直する。その隙をイェサナドとグラハムが見逃す筈はなく、銃弾と衝撃波の餌食となった。


「一丁上がり」


 彼がそう言った直後、五十m上の天井全周囲からそれがやって来る。それは数百機ものドローンだった。九十cm程のそれは薄く平べったい皿の様な形をしており、翼やプロペラなどの部位は見えない。ドローンは円環状に整列しながら一拍置いて前方が左右に分かれ、そこからレーザーの照射口が赤い光を溜め始めた。


「――」


 それに対しピーターはまず右のライトガンで上に直径二十mの障壁を張る。次に左のでそこらに散らばる兵器の残骸を蒼い異次元ローブの中に入れた。


「――」


 緑色の燐光を散らしながら障壁がレーザーに耐える中、再度右の引金を引くとドローンの真横に穴を繋げる。


「ライトスタッフによろしく」

 

 彼は左の銃をくるりと回し引金を引いた。推進力を持って射出された破片はドローンを砕き潰しはぜさせる。誘爆は誘爆を呼び、爆炎と轟音が天井一面を覆う。そしてピーターが数百機と格闘する中、――その下をイェサナドが駆ける。


 密集する敵兵を相手にイェサナド・トルキアも右手のモーラを撃ちながら、距離を詰める敵を蹴散らす。事前の取り決めによりグラハムが大型を相手にするなら、彼女は歩兵を担当していた。彼女の銃撃を潜り抜け、敵兵数体が後方に迫ろうとする。それをまず何とかしたのはピーターだ。彼はまず右の引金を引き、その全員を異次元ローブに収める。次いで手甲を操作し、丁度彼女の前に全員一直線になる形で配置する。彼女が意図を察し、左手で拳銃を抜き出現した敵兵に向けると銃口から数cm先に緑色の魔法陣が浮かんだ。


 引金を引き発射された弾が魔法陣に触れると、銃弾の時は加速する。銃弾の時間を加速すればどうなるだろうか? その答えは時間加速によりその威力は膨大に膨れ上がり、敵兵の装甲を次々に貫通させ強制的に一射多殺を成功させる。


「ナイス・アシスト」


 彼女がそう言った時だ。彼女の赤い瞳がある物を写す。それは三mもの巨体を誇るサイボーグだ。右手は肩までを巨大なキャノンに換装し、周囲には護衛と思しき兵士と一人の杖を持つ魔術師の姿がある。身体は顔以外を分厚い装甲に覆われ、唯一の顔は彫りの深い男の物が素肌を晒している。


「ゲーッハッハ! イスタルジャの旗に集いし同志諸君、この我輩パンツァー・マイケルが来たからにはもう安心だ! 見よ我が正義の鉄槌たるブラスターランチャーを! ウジウジ雑魚共など本日の夕飯にしてくれるわ! ゲーッハッハ!」


 パンツァー・マイケルが意気揚々とそう言うと踵部に点けたスパイクが床に突き刺さり足場が固定。自分達に向けられた右腕の筒先には光が溜まり始める。それとは別に、三十m上のキャットウォークには狙撃手の姿も見えた。


「何、心配する事はない! アルベルト・フォン・グラハムこそ厄介だが、それ以外は雑魚だ!

あのショボイ偽者も今は精鋭が追撃している! 後は我輩が何とかしてやろ――うぉッ!」


 その時、彼女は間髪入れず拳銃でパンツァー・マイケルの眉間を狙った。銃弾は彼の鼻先数十cmの所で止まり、まるで叩かれた後の蝿の様に床に落ちた。


「ゲーッハッハ! ちょっとビックリしたが、そんな豆鉄砲、我等が魔術師の結界の前ではクソの役にも立たんわ――って、イェサナド・トルキアがいるじゃねぇか!?」


 名を知られてるのはレオパルドやグラハムだけではない、イェサナドもこうして警戒される程度には知られている。

 吹き荒れる風の中、耳障りな言葉を遮った後拳銃を仕舞いつつ彼女は分析する。風属性の防御結界、厚さは二百m弱って言った所か。物理弾はほぼ無力。どの弾を時間加速させても十中八九防がれる。グラハムの旦那に任せれば早くカタが着く。あの風使いの魔術師とは格が違う。だが、この状況で旦那を動かすのは悪手だ。ドローンの相手をしているピーターも動かすのはまずい。あぁ、こんな時アイツがいたら……。


『うぉぉぉ! イェサナド、オレは弱そうな敵を強そうに見せるのは得意でもその逆は苦手なんだよ! ――しゃあねぇ、二人の知恵と力と金銭欲求でアイツを倒すぞ!』


 一瞬脳裏を過ぎったその記憶は、鼻を掠めた弾丸にかき消される。どうやらヤキが回ったらしい。いもしないヤツを幻視し、頼りにするなんて……。


「ピーター、あの馬鹿はあたしがやる! アンタは三十m上の狙撃手に向けて穴一発お願い!」


 いない人間を頼る事は出来ない。これは自分達で何とかしなくてはならない事だ。そう思うと彼女は覚悟を決め、次にこう言った。


「一回、あたしが死んだ後でね」


 彼女は素早く懐から出した手榴弾を放り投げると、敵の意識を一瞬注目させた後、小柄さを活かしするりと敵陣の中に行く。狙撃の死角に滑り込むと右足を軸に一回転し同時に銃の引金を引いて一掃。左足で止まった刹那、丁度右横にいた兵士の頭に零距離で左手に抜いた拳銃を叩き込む。そのまま流れる様に横に滑らせ前方三人の顔を撃つ。そして仰向けに倒れかける死体めがけ駆けると、それを足場にし彼女は跳んだ。


「おい、どこの馬鹿だ! 何であの女を止めてない!? 誰かあいつを止めろ! 止めろ止めろ止めろぉぉ!」


 心臓がどくりと脈打つ。全身がアドレナリンに燃やされる感覚の中、彼女は赤い目を細めた。

 同時にその時である。彼女の側頭部を銃弾が貫いたのは。遮蔽物の無い中空に躍り出た瞬間、彼女は狙撃手に狙われたのだ。弾丸は左から右に抜けて貫通し、彼女の頭を半分吹き飛ばすに到る。瞳孔は拡大し、身体から一切の力は抜け、そのまま流れる血と共に落下しようとする。その時、イェサナドは確かに絶命した。

 ――そして、直に生き返った。

 時間にしてコンマ数秒。傷は即座に塞がり、瞳孔は再び収縮する。止まりかけた心臓は再び鼓動を刻む。蘇生した直後に彼女はキャノンの射線の中で引金を引いた。薬莢は弾け、強化火薬によりミスリルの杭が爆発的な推力により炸裂される。


「いやぁぁああ、お母さぁぁぁん!」


 風の結界は白銀の杭に触れた瞬間破却され、まるでそよ風の様に消失した。それなりに分厚い装甲は杭先に触れると、まるでバターの様に滑らかに引き裂かれ人工心臓に炸裂。杭は標的を絶命させるに到る。溜まっていた光はその比喩かの様に照度を失った。

 着地したと同時に彼女の前に直径六十cm程の穴が生まれる。その向こうには狙撃手の姿があった。彼女は即座に左の銃を入れ三発叩き込む。そして止めに手榴弾を放り込むと穴は消え、一拍置いて三十m上が爆発した。

 有効射程距離まで接近すれば確実に絶命させる事の出来る回避不能・防御不能の対魔術対サイボーグ用装備。それが彼女の持つモーラだ。そして、それを手繰るイェサナドは死なないのである。


 彼女は死なない。何があっても、頭を吹き飛ばされ、心臓を潰されても彼女はコンマ数秒で蘇生するのだ。魔術・科学問わない対応力と熟練した戦闘経験、それを失わず生かせる不死性。それがイェサナドが八班の要と言われる理由である。


 そして彼女が杭を引き抜きながら拳銃でその場にいた魔術師の頭を吹き飛ばした直後、彼女の足元に穴が開く。


「ほえ? ――ほえぇえええええ!?」


 彼女が可愛らしい声で叫んだ時には既に落下しピーターの傍にいた。


「お帰り、女ウルヴァリン」

「……急に戻すのは止めなさい」

「悪い。でも」


 彼がそう言いかけた時だ。


「――よくやったピーター・では一旦全てを灰燼と帰させよう、“レーヴァテイン”」


 グラハムがそう言うと部屋一帯が紅く染まる。紅蓮の炎が全てを覆い、それはまるで古エッダに語られる終わりの巨人が振るった剣の様に何もかもを焼き尽くしていった。……彼らにも火の手は及んだものの、それはピーターが張った障壁により阻まれていた。火の手が止んだ後に彼は言う。


「流石に、あれに巻き込まれたくはないだろ?」

「……ごめん、ありがとうピーター」

「いいって事よ」


 轟音が鳴り響いたのはその直後である。粉塵を立てて現れたのは、大きさ三十m程の多脚型歩行戦車だった。四本の足に、機銃と大口径の砲塔を備えたそれに彼女は戦慄する。


「――ピーター!」


 ピーターは手甲を操作し空間固定の魔術を多脚戦車にぶつける。彼等としては足止めをする算段だった。しかし、多脚戦車の動きは止まらない。次に行動したのはグラハムだ。彼は先程まで相手にしていた集団から抜け出し、四〇m程跳躍した後に戦車の背後から魔術で叩き潰そうとするが――


「効かぬッ!?」


 その術式はまるで絡み合った糸を解くかの様に分解して消失される。魔術対策なのは見て解った。……イェサナドも負けじと銃撃で応戦するものの、それは全て分厚い装甲板に阻まれる。そして多脚戦車は胴体の下に格納してあったある物を展開する。それは大口径のガトリングだった。勿論彼等が喰らってしまえば一溜まりも無い。


「イェサナド、こっちだ!」


 回転砲身は駆動し、銃火が吼える。ピーターは自分に向かってダイブしたイェサナドを受け止める。流れ弾は凝結させた空間で何とか耐える。合流した他のメンバーも大半は直前で逃げ遂せた。


「やっば……」

「俺、しばらくFPSは出来なさそう……」


 降り注ぐ鋼鉄の雨に向かい、彼等がそう呟いた時だ。

 ――炸裂するのは光の一撃。上から下へと、それは落ちて爆ぜる。鋼鉄の巨獣はその一撃で機能を停止した。

 誰もが視線を泳がせる。そして濛々と立ち込める白煙を裂き、彼は上から現れた。赤いコートが一度翻り、風に黒い髪がばさつく。誰もが感じた、それは確かにあの男だと。


「よう、イェサナド」


 ノイを抱きかかえたまま、滑り込む様にしてウォルフは彼女の隣についた。そして銃撃戦が再開される。多脚戦車こそ沈黙されたが、依然として敵は多い。 


「遅れてすまない。ちょっと武器調達に手間がかかった」

「アンタ! 今まで何してたのよ!?」

「理由は後で話す。率直に聞きたいんだが。イェサナド、チームは後何分持つ?」

「戦況がこのままだったら、後十分。消耗度が結構来てる。あたしも弾のカンバンが近い。正直、さっさと引き上げたいとこだけど……敵は一向に減らないわね」


 そこでピーターは右のライトガンの引金を引き、空間を盾にした後。


「実写版ロード・オブ・ザ・リングのモリアの坑道みたいな感じ。レゴラスとかの個人プレイは凄いけど、全体を見ると実は劣勢なのは変わってないみたいな――でもバルログはさっき消えた」

「解った。時間を稼ぐ為に俺も前に出る。ノイは頼んだ」


 彼はノイの身体をイェサナドに預けた。


「ちょっと!」

「心配するな。意識を失ってるだけだ」

「…………アンタ、何が有ったの?」 


 イェサナドの目にその凄絶な顔が映ったのも束の間、ウォルフはもうそこにいなかった……。

 

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