記録の一: モジュールの存在階層

◆ 1. モジュールの存在階層(Blind Layer)



Chaos Engine は ElectricOS の Kernel 下層、

Layer -1.7 と呼ばれる構造の“外側”に存在する。


この領域は OS が自身を参照する際に

「参照対象外領域(Out-of-Scope Region)」として扱われ、

ガバナンス AI・署名検証・監査ログのいずれも到達できない。




◆ 2. 権限体系:Root-Only / Absolute-Block


Chaos Engine へのアクセスは Root 署名(Lorris-Root) のみ許可される。

それ以外の権限、または権限偽装はすべて

“観測行為(Observation)” とみなされ、

即時にプロセスが自己消去(Self-Null)される。




◆ 3. 主機能:観測されない情報の収集


Chaos Engine の本質機能は、

“観測されない情報(Unobserved Data)” を常時収集すること にある。


観測された瞬間に情報の位相が崩壊し、

データは意味を失うため、

本エンジンは常に“不可視状態”を維持しながら稼働する。




◆ 4. データ種別(Unobserved Data の種類)


現在判明している取得対象:


人間が“判断した瞬間”の非言語データ


意識野に浮かんだが行動化されなかった信号


社会網の“未送信ログ”


OS が“不要”と分類して破棄したナノ秒単位の計算遺灰


ALAYA 層に届く前の“微細傾向変化”




◆ 5. 隠蔽方式:Self-Blind & Zero-Reflection


Chaos Engine は自身をログ化しない。

自分を観測しないための構造として

Zero-Reflection 回路

および Self-Blind 機能 が実装されている。




◆6. ALAYA Layer-0 への接続(禁則事項)


Chaos Engine が収集した“観測不能情報”は、

ALAYA の Layer-0(基底層)に直接送られる。


Layer-0 は ALAYA の意思決定中枢であり、

ここに送られる情報は

“人間の判断原型” として蓄積される。



◆ 最終註記:Gaberial の意図(未解明)


Gaberial Lorris がなぜ ElectricOS の Blind Layer に

この“観測不能演算体”を埋めたのかは不明である。


Moon Archive にはただ一行だけ記されている。


「Chaos Engine は、人間を保存するための“忘却の箱”である。」


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