元カノを寝取った親友に復讐したら、俺を一途に想ってくれてた親友の妹(地味子)が実は超絶美少女で溺愛してくれる件

@stay_

第1話

 夏休み明けの教室で、俺は机に突っ伏していた。


 携帯の画面に映る写真が、頭から離れない。美咲と健太が、笑顔でキスしている写真。二人とも、俺の大切な存在だったはずなのに。


「涼介、大丈夫?」


 クラスメイトの声も耳に入らない。美咲とは中学からの付き合いだった。健太は小学校からの幼馴染だった。その二人が、俺を裏切った。


 夏休みの最後の日、美咲から別れを告げられた。理由は教えてくれなかった。でも、すぐに分かった。SNSに上がった写真が全てを物語っていた。


 昼休み、屋上に呼び出された。健太だった。


「悪かったな、涼介」


 健太の声に、謝罪の色は薄い。むしろ、どこか満足げな響きがある。


「美咲とはもう付き合ってる。お前じゃ、美咲を幸せにできないって分かったんだ」


 拳を握りしめる。殴りたい。でも、それじゃ俺が負けだ。


「ああ、そうか」


 俺は笑って答えた。健太の顔に、一瞬戸惑いが浮かぶ。


「お前、平気なのか?」


「平気なわけないだろ。でも、お前みたいな奴と争っても無駄だからな」


 健太の表情が歪む。俺の反応が、気に食わないらしい。


「涼介、お前マジで情けないな。もっと怒れよ」


「怒る価値もない」


 そう言い残して、俺は屋上を出た。心臓が激しく鳴っている。怒りと悔しさで、体が震える。


 でも、ここで感情を爆発させたら、健太の思う壺だ。あいつは、俺が苦しむ姿を見て楽しんでいる。


 教室に戻ると、美咲が健太と並んで座っていた。美咲が俺を見る。その目に、罪悪感はない。むしろ、勝ち誇ったような光がある。


 その時、廊下で誰かとぶつかった。


「あっ、ごめんなさい」


 地味な女子生徒が、頭を下げる。眼鏡の奥の目が、申し訳なさそうに揺れている。


「いや、こっちこそ」


 彼女の顔に見覚えがある。確か、健太の妹の千夏だ。同じ学年だが、クラスが違う。いつも図書室にいて、誰とも話さない。地味で、目立たない女子。


 その時、閃いた。


 復讐の方法が。


 千夏を利用すれば、健太を確実に傷つけられる。健太は妹を異常に可愛がっている。その妹を、俺が奪えば。


「千夏ちゃんだよね?」


 彼女が驚いたように顔を上げる。


「え、はい」


「俺、涼介。健太の友達」


 千夏の表情が、わずかに曇る。健太の名前を出すと、いつもそうなる。兄妹仲が悪いのかもしれない。


「あの、健太兄のこと、知ってるんですか」


「幼馴染だよ。千夏ちゃんとも、昔は一緒に遊んだりしてたよね」


「覚えてて、くださったんですか」


 千夏の声が、わずかに震える。嬉しそうな響きがある。


 そうだ、昔は一緒に遊んでいた。小学生の頃、健太の家に行くと、千夏がいつもついてきた。当時の千夏は、俺に懐いていた気がする。


「また一緒に話さない? 昔話とか」


 千夏の目が見開かれる。眼鏡の奥で、瞳が揺れている。


「本当に、いいんですか」


「もちろん。放課後、図書室で待ってるから」


 千夏が小さく頷く。その表情に、喜びが滲んでいる。


 完璧だ。千夏は簡単に俺に引っかかった。こいつを利用して、健太に復讐してやる。


 放課後、図書室に向かう。千夏はすでに、奥の席に座っていた。


「待った?」


「いえ、私も今来たところです」


 俺が隣に座ると、千夏の体が小さく震える。緊張しているのが分かる。


「千夏ちゃん、いつも図書室にいるよね」


「はい。本を読むのが好きで」


「何の本読んでるの?」


 千夏が手元の本を見せる。恋愛小説だ。


「恋愛小説、好きなの?」


 千夏の顔が赤くなる。


「は、はい。でも、実際の恋愛はしたことなくて」


「そうなんだ。じゃあ、理想の恋愛ってある?」


 千夏が少し考える。


「一途に、想い合える関係が、理想です」


 その言葉に、胸が少し痛む。美咲は、俺を裏切った。一途じゃなかった。


「いい理想だね」


「涼介さんは、どうですか?」


「俺? 俺は」


 美咲の顔が浮かぶ。でも、もう彼女のことは考えたくない。


「俺も、一途な関係がいいな。裏切られるのは、もう嫌だから」


 千夏が俺を見つめる。その目に、何か深い感情が宿っている。


「涼介さん、何かあったんですか」


「ちょっとね。彼女に、親友に寝取られた」


 千夏の目が大きく見開かれる。


「それって」


「健太だよ。お前の兄貴」


 千夏の表情が曇る。


「そう、だったんですか」


「千夏ちゃんは、健太のこと好き?」


 千夏が首を横に振る。


「好きじゃ、ないです。兄は、私のことを妹としてしか見てないし、いつも自分のことばかり」


 なるほど。兄妹仲は、やはり良くないらしい。


「じゃあ、俺が健太に復讐しようとしても、千夏ちゃんは気にしない?」


 千夏が俺を見つめる。その目に、決意のようなものが浮かんでいる。


「涼介さんが、そうしたいなら」


「ありがとう」


 俺は千夏の手を取る。千夏の手が、小さく震える。


「千夏ちゃん、俺と付き合わない?」


 千夏の顔が真っ赤になる。


「え、あの、本当に、ですか」


「本当だよ。千夏ちゃんと付き合って、健太を見返したい」


 正直に言う。千夏を利用するつもりだと。でも、千夏は俯かない。


「分かり、ました」


 千夏が小さく頷く。


「私も、涼介さんと一緒にいたいです。理由は、何でもいいです」


 その言葉に、少し胸が痛む。千夏は、俺が自分を利用するつもりだと分かっている。それでも、受け入れてくれた。


「ありがとう、千夏」


 千夏が顔を上げる。眼鏡の奥で、涙が光っている。


「涼介さん、私、ずっと涼介さんのこと、好きでした」


 その言葉に、心臓が跳ねる。


「昔から、ずっと。でも、涼介さんには彼女がいて、私なんか見向きもされないと思ってました」


 千夏の声が震える。


「だから、理由が復讐でも、涼介さんと一緒にいられるなら、嬉しいんです」


 俺は千夏を抱きしめる。千夏の体が、小さく震える。


「千夏、ごめん」


「謝らないでください。私、本当に嬉しいんです」


 千夏の体温が、温かい。彼女の髪から、甘い香りがする。


 その時、ふと思った。千夏を利用するつもりだったのに、いつの間にか、千夏に救われている気がする。


 翌日から、千夏と一緒に過ごす時間が増えた。


 図書室で、一緒に本を読む。昼休みには、屋上で二人だけで弁当を食べる。


 千夏は、いつも笑顔だった。俺といるのが、本当に嬉しそうだった。


「涼介さん、今日の授業、分かりました?」


「ああ、数学? 全然分からなかった」


「じゃあ、教えますね」


 千夏が俺のノートを覗き込む。その距離が近い。千夏の髪が、俺の頬に触れる。


「ここの公式を使えば、解けますよ」


 千夏が丁寧に説明してくれる。その声が、優しい。


「千夏、頭いいんだな」


「そんなこと、ないです。ただ、勉強が好きなだけで」


 千夏が照れくさそうに笑う。その笑顔が、可愛い。


 最初は復讐の道具だと思っていた。でも、千夏と過ごす時間が、心地よい。


 一週間後、千夏が提案してきた。


「涼介さん、眼鏡、外してみてもいいですか」


「眼鏡? なんで?」


「コンタクトレンズを買ったんです。涼介さんに、見てほしくて」


 千夏が眼鏡を外す。


 その瞬間、息が止まった。


 目の前にいるのは、別人だった。大きな瞳が、俺を見つめている。その瞳は、透き通るような綺麗な色をしている。


「千夏、お前」


「変、ですか」


 千夏が不安そうに俺を見る。


「変じゃない。めちゃくちゃ、可愛い」


 千夏の顔が真っ赤になる。


「本当に、ですか」


「本当だよ。なんで、今まで眼鏡かけてたの? もったいない」


 千夏が俯く。


「私、目立ちたくなくて。可愛いって言われるの、苦手で」


「なんで?」


「兄が、私を可愛がるのが嫌だったんです。兄は、私が可愛いから好きなんじゃなくて、妹だから好きなだけで」


 千夏の声が、悲しげに響く。


「だから、地味にしてたんです。でも、涼介さんには、本当の私を見てほしくて」


 千夏が俺を見上げる。その瞳が、潤んでいる。


「涼介さん、私、本気で涼介さんのこと好きです」


 その言葉に、心臓が高鳴る。


「俺も、千夏のこと」


 言葉が続かない。復讐のために利用するつもりだった。でも、今は違う。千夏といると、心が温かくなる。


「俺も、千夏のこと、好きだ」


 千夏の目から、涙が溢れる。


「本当に、ですか」


「本当だよ。最初は、復讐のつもりだった。でも、今は違う。千夏と一緒にいたい」


 千夏が俺に抱きつく。その体が、小さく震えている。


「涼介さん、嬉しい。本当に、嬉しいです」


 俺は千夏を強く抱きしめる。千夏の体温が、温かい。その温もりが、心に染み込んでくる。


 その日の夕方、廊下で健太と美咲に遭遇した。


 二人は俺を見て、勝ち誇ったような顔をする。


「涼介、元気そうだな」


 健太の声に、嘲りが混じっている。


「ああ、元気だよ」


 美咲が俺を見る。その目に、優越感が滲んでいる。


「涼介、新しい彼女とかできた?」


「できたよ」


 美咲の表情が、わずかに曇る。


「誰?」


「千夏」


 健太の顔色が変わる。


「千夏? 俺の妹の?」


「そう。千夏と付き合ってる」


 健太が俺の胸ぐらを掴む。


「ふざけんな! 千夏に何した!」


「何もしてないよ。千夏が、俺のこと好きだって言ってくれたから、付き合ってるだけ」


 健太の顔が歪む。


「お前、復讐のつもりか」


「最初はね。でも、今は違う。千夏のこと、本気で好きになった」


 健太が拳を振り上げる。でも、その拳は俺に届かない。


「健太兄、やめて」


 千夏が、健太の腕を掴んでいる。


「千夏、お前」


「私、涼介さんのこと、昔から好きだったの。だから、涼介さんと付き合えて、本当に嬉しい」


 千夏が俺の腕に抱きつく。その体が、温かい。


「涼介さんは、私を大切にしてくれる。兄みたいに、妹として可愛がるんじゃなくて、一人の女の子として、大切にしてくれるの」


 健太の顔が、青ざめる。


「千夏、お前、俺のこと」


「嫌いだよ。兄は、いつも自分のことばかり。私の気持ちなんて、考えたことないでしょ」


 千夏の言葉が、冷たい。


 美咲が俺を見る。その目に、焦りが浮かんでいる。


「涼介、あんた、本気なの」


「本気だよ。千夏以外、もう眼中にない」


 美咲の顔が歪む。


「私と健太の方が、幸せなのに」


「それは、お前らが決めることだろ。俺は、千夏と幸せだから」


 俺は千夏の手を取る。千夏が嬉しそうに笑う。


「じゃあな」


 俺たちは、健太と美咲を残して、歩き出す。


 後ろから、美咲の声が聞こえる。


「涼介、待って」


 振り返らない。もう、美咲には興味がない。


 千夏が俺を見上げる。


「涼介さん、本当にいいんですか」


「何が?」


「私なんかで」


 俺は千夏の頭を撫でる。


「千夏が一番だよ。お前以外、考えられない」


 千夏の目から、また涙が溢れる。


「嬉しい。涼介さん、大好き」


「俺も、千夏が大好きだ」


 俺たちは手を繋いで、夕日の中を歩く。


 後ろから、健太の怒鳴り声が聞こえる。でも、もう関係ない。


 俺には、千夏がいる。それだけで、十分だ。


 それから数ヶ月、俺と千夏は毎日一緒にいた。


 学校では、いつも二人で行動する。周りの目も気にしない。千夏は、コンタクトにしてから、一気に学校の人気者になった。


「千夏ちゃん、めっちゃ可愛いよね」


「涼介、羨ましいわ」


 クラスメイトの声が聞こえる。でも、千夏は俺以外には興味がない。


「涼介さん、今日の放課後、一緒に帰りましょう」


「ああ、もちろん」


 千夏が嬉しそうに笑う。その笑顔が、俺の全てだ。


 ある日、健太が俺に声をかけてきた。


「涼介、話がある」


 健太の表情が、暗い。


「何?」


「千夏のこと、頼む」


 健太が頭を下げる。


「俺が悪かった。お前と美咲のこと、奪うべきじゃなかった」


 健太の声が、震えている。


「でも、美咲は、お前のことしか話さない。お前が千夏と幸せそうなのを見て、後悔してる」


「それは、美咲の問題だろ」


 健太が顔を上げる。


「お前、本当に千夏のこと、好きなのか」


「当たり前だろ。千夏以外、考えられない」


 健太の表情が、苦しそうに歪む。


「そうか。なら、いい」


 健太が去っていく。その背中が、小さく見える。


 美咲とも、何度か遭遇した。美咲は、いつも俺を見ている。その目に、後悔が滲んでいる。


 でも、もう遅い。俺の心は、千夏で満たされている。


 放課後、千夏と二人で帰る道。


「涼介さん、今日も楽しかったです」


「俺も。千夏といると、毎日が楽しい」


 千夏が俺の腕に抱きつく。


「私も、涼介さんと一緒にいられて、幸せです」


「千夏、ずっと一緒にいような」


「はい。ずっと、一緒です」


 千夏が俺を見上げる。その瞳が、愛おしい。


 俺は千夏にキスをする。千夏が目を閉じる。その唇が、柔らかい。


 キスを終えると、千夏の顔が真っ赤になっている。


「涼介さん、好きです」


「俺も、千夏が大好きだ」


 俺たちは手を繋いで、家路につく。


 夕日が、二人を照らしている。その光が、温かい。


 俺は、もう過去を振り返らない。美咲も、健太も、どうでもいい。


 千夏がいれば、それだけで幸せだ。


 千夏の手を強く握る。千夏も、俺の手を握り返してくれる。


 これからも、ずっと一緒だ。


 千夏と、ずっと。

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