地上の星 外伝総まとめ 2025年編
@suzume_sitakiri
第1話
同士少女よ地上の星を撃て
ここはどこだ。頭痛と吐き気がする。気がつけば私は森の中にいた。SKSを握り立ち上がる。
片足が動かなかった。銃床で地面をついて行く。痛みの中ここ数日間の記憶を遡る。
友人が火炎放射器で悲鳴を上げながら見るに耐えない姿となったあの日から…
スコープでただのぞいていることしかできずただ群がる敵兵の頭を撃ち抜くしかできず。
全てが終わる頃には誰が誰かわからない黒い溶け合った灰の中から友人のドッグタグを拾い上げた
あの時から…友人は…コード381はギターが得意なライフルマンだった。
私が近付く事も烏滸がましい凄く高貴な家庭の子だった。
名前もあったし教えてくれたけど、私は文字が読めなくて彼女のコードしか分からなかった。
よく訓練が終わると野営地でギターを弾いていてその演奏はみんなから人気があった。
深夜彼女の周りに誰もいなくなるとこっそりとテントの影に隠れて彼女の演奏を聴いていた。
遠いテントの影から微かに聞こえる音だけでいい。それだけでいい。初めはそう思っていた。
でもそれを繰り返すうちに、満足しきれなくなってどんどん、どんどんと近づいて…
ついには彼女に見つかってしまう距離まで近づいてしまった。彼女が私を見つけた時、
笑って隣に座るように言ってくれていろんな曲を聞かせてくれた。そんな彼女の織りなす音色に
安心し切って過酷な訓練の疲れもあり彼女の肩に頭をのせて眠ってしまうこともあった。
上官にはこっぴどく叱られたがそんな不出来な私を彼女は笑って許してくれた。
私は、彼女が少し羨ましかった。色々な人の注目を集めて色々な人を幸せにする彼女が。
私には到底、できそうになかったから、身分が低くて話がつまらないし片目がない私には…
そして嫉妬して酷いことを言ったりもしたが…彼女はそれを笑って許してくれた。そして、
そんな彼女がいつのまにか好きになっていた。身分の低い私にも分け隔てなく接してくれたから。
けれど、女が女を愛すのはおかしな事だし私はただの兵士。
名前もない、コードだけ、ギターを買う権利もない。
体を獣に改造され戦うために生み出されたスラムの…悪魔の子。
だから彼女の曲を何度も何度も聴いて覚えていつか敵をたくさん殺して名前を貰ったら
その人からギターを買ってもらって彼女と一緒にギターを弾くのが夢だった。
そしたら彼女に少しでも近づけると思ってた。
けれどその音色も彼女自身も…上陸作戦の阻止のため彼女が塹壕に配備され
私は数キロ離れた山の上から狙撃を命じられたあの日、殺しても、殺しても、上陸艇から
戦車や人間が溢れ出してきて業火に飲まれた。私は…彼女を守れなかった。数日間頭が動かなかった。
ずっと時が止まっていた…いや、今も時が止まっている。
絶望の中SKSの銃口を自分の顎に向けて引き金を弾いた時意識が途絶え、記憶は曖昧だが
"月の羊飼い"を名乗る何者かにもう一度チャンスをやると言われて…
そしていつの間にか私はどこかの森にいた。
結局私はなんのために生きてるんだろう
彼女も守れないままただ負け犬みたいに森を歩いている。いっそ私なんか
消えてしまった方がいいんじゃないかな森の中でふとそのような考えが生まれた。
名前をくれた人に会いたい気持ちよりただ生き延びてしまった自分が恥ずかしい。
死に遅れた自分が恥ずかしい。少し歩いたところに首を吊って亡くなっている
男の死体があった。幸い、縄が余っていた。この人はどういう理由で死んだんだろう?
そう思いながら自分も無意識に縄を編んで輪を作りそれを首と木に掛けた。
あとは足場から落ちるだけ、そしたら私はこの世から消えれる。あわよくば381にも
会えるかもしれない。その時銃声が響いた「あっぶなぁ…やめとこうぜ嬢ちゃん」
見てみると首吊りの輪を弾丸が打ち抜き縄を断ち切ってしまっていた。
声をした方を見てみるとハワイアンシャツにズボン、そしてサングラスをつけた男が
妙な形をしたハンドガンを片手にこちらに歩み寄ってきた。
「ここ、俺らのテリトリーなんだが勝手にくたばりにくるやつが多くてね。
常に霧が出てる森林だから自殺の名所だとよ。だから見回りに来たんだが案の定。嬢ちゃん。
死にたいならよそで死んでくれ」そういい男は酔っ払いのような足取りでこちらに向かってきた。
木に立てかけられたSKSを見ると「おいおいなかなか、イケてるもん持ってんな。
嬢ちゃん。お前ただもんじゃないね?スナイパーか?なんでこんなとこで首吊りを…そいつで1発パなして
イラつくやつの脳みそ犬の糞みたいに派手にぶち撒けてしまった方が首吊りなんかよりよっぽどストレス
発散になると思うんだが。」と笑いながら問いかけてきた。
「私は、戦争で死にぞこなったんです。仲間たちを置いて逃げてしまった。そんな自分が恥ずかしい、
だから私はここで死んで少なくともこの恥ずかしさから逃れたいんです」
そう私が答えると男は唾を噴き出して腹を抱えて、ガラケーのように体を折り曲げて笑い出した
「ああ、外人さんか?戦争かぁそりゃご苦労。しかし、なんだ言っちゃ悪いがそんなことか。
嬢ちゃんの過ごしてきた量とどちらが多いか知らんが俺も何度も修羅場を経験してるから言わせてもらうが
仲間なんて呆気なく死ぬぞ。ついこないだ長年俺の相方だったヴィンセントってやつもトイレ中に便器に
顔突っ込まされた挙句弾丸ケツにしこたまぶち込まれて
お亡くなりになったさ。嬢ちゃんの自分が恥ずかしいって気持ちもよくわかる。ただ俺はその恥ずかしさが
堪らなく楽しくってな、自分のために死のうってより逝っちまったヴィンセントのために生きてやろう
って気持ちが湧き上がってくるんだ。最近の人間は皆立場だの仕事だの学校だので縛りに縛りまくられて
自由になれるのは死の瞬間。焼かれて死ぬか首吊って死ぬか溺れて死ぬかヤクで死ぬか。
理不尽に生きて自由に死んでんだ。小さい頃の俺はそういう奴らが可哀想で仕方がねぇ。
そう思った。だから俺は決めたんだ自由に生きて理不尽に死んでやるってな。
好き放題暴れて他人に迷惑をかけまくってそれで最後はヴィンセントみたいに死ぬ。
それでいいって思ってんだ。そしたら遺された側も
【あいつは自由に生きたし当然の報いだ。何も気にすることない】そう考えて
苦しむことなく自由に生きられるだろ?
なぁ嬢ちゃん。お前は過去に縛られてんじゃないか?亡くなったやつのためにも自由に生きようぜ?
ヴィンセントの代わりと言ったらなんだが俺とバディをくまねぇか?俺んのとこマフィアで
動いてりゃ少なくとも飯は腹一杯食える。上手いこと仕事をこなせりゃ毎晩ナイトプールで
女に囲まれながら高い酒を文字通り浴びる様に飲むこともできる。死ぬよりもわるかないだろう?」
そう男は笑ってこちらに顔を近づける。サングラスの隙間から蒼い瞳が見えた。
「…ギターは買えますか?」
そういう私の質問に「俺とバディを組むならお前をブライアン・メイにしてやろう」そう男は答えた。
私はその話に乗ることにした。
「乗ります。その話」そう答えると男は笑って。握手を求めこう言った。
「俺はドズだ。お前はなんで呼べばいい?」
「汐路と呼んでください。」そう言って握手に答えた。
それから数分森の中を歩いていると放棄されたラジオ放送局にたどり着いた。
梯子を登り、まるで爆弾で開けられた様なボロボロの天井から中へ侵入する。
左右に瓦礫の山が築かれた廊下を歩いていくと
エレベーターが現れた。場違いな程に綺麗に手入れされたボタンや鉄門そしてそれが開くと同時に
まるで高級ホテルかの様な木製の壁と華美な絵画が飾られたケージが登場する。
心温まるエレベーターミュージックと共に地下に降りる。ドアが開いた先は
九龍城砦の様な、ラジオ局を改造したであろう巨大な兵器工廠と街が一体化した要塞だった。
武器を携帯したさまざまな風貌の人間があるものは手榴弾や薬物を購入し
あるものは壁に貼られた手配書の様な懸賞金と写真が書かれたポスターを眺めたりしていた。
霧が立ち込める森林の地下にも関わらず
中は大都会の様に賑わっていた。「ようこそ。フォレストオウルへ」そうドズが笑った。
そこから数分歩いたところに居住区らしき洞窟を切り開いた
であろう区画が現れた。そこかり3分ほどしてアパートの様な
場所に案内された。地下にアパートがあること自体異常だがそれよりもおかしいのはベルトコンベアーが
アパートを当然のことの様に貫いておりそこをガンパーツが流れていっていることだった。
明らかに無計画な建築に呆気を取られつつ。アパートに入る。奇しくも404号室がドズの
部屋らしい入ってみると蒸し暑くビール缶とタバコの残骸、ピストル用ダムダム弾が
散らばった薄暗い部屋だった。しかし、部屋の端に立てかけられていたギターは埃一つなかった。
「いやぁだます様で悪いが、ついこないだPretendersというハッカー集団に
組織の金を分取られてしまってね。おかげでこの有様なんだ。あとこのギターは俺のだから
お前にはやらない。自分の金で買ってくれよ。それでだな、いい仕事がある。
今までの行動パターンから今度のクリスマスに
Pretendersが隣町の渚晴町で何かしらのアクションを起こすのではないか?
という情報が入ってきたんだ。しかもだ、渚晴町にはヴィンセントを殺ったであろう奴も
潜んでいるらしい。朙華教っていうカルトの奴らだ。もしPretendersの構成員を捕まえる
もしくはヴィンセントを殺った奴をぶっ殺すことができればそれなりの報酬金が上から降りてくる。
俺と汐路5:5で山分けしてクソ高けぇギターを買っても数十万のお釣りがくる算段だ。
お前はスナイパーとしてPretendersの動向を監視しててくれ。おれはヴィンセントを
雌豚みたいにした奴を蜂の巣にしてくる。」
そう言われて免責事項書が差し出された。私はそれにサインをしクリスマスまでドズと共に
渚晴町に潜むことになった。
__________
歩めぬ者の回想・バーバヤーガの黙示録
「おはよう、おはよう」その声で目を覚ました。
私の名前はアンリ。貧しい14歳の少女だ。
過去酒場を営んでいたが父親は酒に呑まれて暴力を
振るう様な性格で、母はそれに耐えかねて離婚したがすでに遅く
そこから一ヶ月のうちに亡くなってしまった。
幼かった私は何をすることもできず酒場は勝手に売却され、
そのほとんどが屁理屈を捏ねくり回す大人に持っていかれ
僅かな金でこの広大な社会に投げ出された少女だ。
しかし私の心は裕福だった。母が亡くなる前に受け継いだ笛があるからだ。
私の笛の音は不思議な力があるらしく、あえて音を誤ればネズミを
追い払うことができ、丁寧に吹けば人々の心を魅了した。
工場のネズミ退治要員として雇ってもらえ、1日分の食費は賄えるし
私の笛を夕方聴きにきた少年少女たちや、その両親からおひねりや
パンを貰えたからだ。特に地域の子供達からは人気で
この町で私を知らない子供はいないと言えるぐらいだった。
そして今私を起こしたのは私の相棒でありペットであり、同業者の
雀の「パロ」である。幼い頃。道端で怪我をしているのを治したら
いつのまにか人語を解する様になり少し仕込めば芸もできる様になった。
いつも笛を吹く時、それにちなんだ御伽噺を私の肩や笛の先を行き来して
語ってくれる。私とパロのコンビはこの地域の有名な大道芸人と
言っても過言ではないだろう。
「ああ、おはよう。パロ、仕事の時間だね」私はベッドから起き上がり
肩に止まったパロを鼻と嘴を合わせて挨拶をする。
ベッドといっても羽毛でできたようなものではなく、苔の生えた岩と
ただの砂、そして掛け布団がわりのボロいコートの貧相な物なのだが。
さて、今日の仕事を始めよう。パロにはあらかじめ作っておいた白い
ムクゲの花で編んだ衣装を着せて私は緑のコートとボロボロの
羽付帽子をかぶって今日も笛を吹きながら街を練り歩く。
楽しげなステップを踏みながら。
そしてそれに合わせてパロが御伽噺を飛び回って語り始める。
【むかしむかし、空の高いところに、
カラスたちが平和に暮らす村がありました。
カラスといえば真っ黒な羽。そこに生まれた一羽のカラスだけは、
まっしろな羽を持っていました。その子の名はシロ
「おかしな羽だ!」「カラスらしくない!」「気味が悪い!」
仲間たちは、シロの白い羽をからかい、仲間に入れようとしませんでした。 シロはいつもひとりぼっち。でも、空を飛ぶのが大好きで、
雲の形を覚えたり、風の流れを感じたりするのが得意でした。
ある年、嵐と共に真っ黒な黒いもや雲が空に広がり、空が
見えなくなりました。太陽はかくれ、風は重くなり、木の実も見えず
カラスたちは、食べものを求めて飛ぼうとしましたが、真っ黒な雲の中で
迷子になるばかりだった。
「おい、ちゃんと前のカラスについてこい!」 「見えないよ、全部真っ黒で、どこに誰がいるかわからない!」
もやもやとした雲の中で、黒いカラスたちは黒い雲にまぎれて、
前も後ろも見えなくなってしまったのです。
そのとき、一羽のカラスが言いました。
「……シロなら、見えるかもしれない。あいつの白い羽なら、
黒いもやの中でも、きっと目印になる」カラスたちは悩みました。 「でも、シロは変わり者だ」「本当に頼りになるのか?」
しかし、他に方法はありません。
「ぼくでよければ」と、シロは一歩前に出ました。
シロは先頭に立ち、ゆっくり、嵐の中を飛びました。
真っ黒な嵐の中でもシロの美しい白い羽は夜空に浮かぶ北極星のように
皆の目印となることができました。
「見えるぞ!」「あの白い羽についていけ!」
カラスたちはシロを目印に、ひとつの列になって空を進みました。
シロは風の向きを読み、光のありかを探し、やがて黒い雲を抜け出して
青空と太陽が広がる空の上へとみんなを導きました。
雲の上にたどりついたとき、シロの翼は陽の光に当てられ煌めいていました。それを見たカラスたちは、
心から言いました。「ありがとう、シロ。君の“ちがい”が、ぼくらを助けたんだ」
それからは、白でも黒でも、羽の色に関係なく、 どのカラスも同じように空を飛び、力を合わせて生きるようになりました。めでたしめでたし。】
物語が終わるとパロは後ろに向かって飛んでゆき、紙吹雪のように
ムクゲの花を散らしてゆく、それを合図に笛の音を止めて振り向くと、幼い子供たちが列を成していた。
「やぁ、坊や嬢ちゃん。今日も来てくれたんだね。嬉しいよ。君たち。今回の物語みたいに、
この世界の人はみんな特別で違いを持っている。だから自分と違うからといって
いじめたり、喧嘩してしまってはいけないよ。そして自分の特別さを大切にしてあげてね。たとえ周りに
酷く言われたとしても、それが自分の中で一番強い力になる時が来るから」
そういって笑うと赤髪の女の子がやってきて「えへへ、面白い話だった!私もシロみたいになれるかな?」
と言ったので屈んで女の子と同じ目線に立ち「うん!この世界の人たちは、みーんな特別な力を
持ってるんだ。他の人との違いっていう名前のね。だからお嬢ちゃんもきっとシロみたいになって、
誰かを導く星のようになれる時が来るよ。だからその時のために沢山遊んで、沢山学んで、
自分の特別な力を見つけて、それを伸ばしてあげてね。」そう言って頭を撫でた。
少女は笑顔でわかった!と元気よく答えたあと「これ、アンリお姉さんとパロちゃんにプレゼント
鳥さんでも食べられるようにレシピをお母さんが考えてくれたんだ!」
と言って袋に詰められたカンパンのようなクッキーを私にくれた。私は笑顔で「くれるのかい?
ありがとう。あとで大事に食べるね。」と少女に笑顔を見せた。
その後他の子供達とも会話を初めて、それが終われば夜が来るまで街を練り歩く。ついてくる子供達は
ざっと100人はいるだろう。私はその100人の家がどこにあるか把握している。
5時ほどになればその子供たちを家まで帰してあげるよう行進を続ける。
たまに家の中にいる両親が顔を出し、「いつもうちの子の面倒を見てくださりありがとうございます」
と礼を言われ、夕飯分の小遣いをくれる事もあった。私は子供達が喜んでくれる上に少し
お金ももらえるこの生活が幸せだった。帰りも明日はどんなお伽話にしようかをパロと考えながら
今度は工場に行くための支度を整える。深夜までパロと公園で語らい、深夜の工場に向かう。
依頼主に鍵を開けてもらって工場の中に入る。夜遅くもあって既に従業員もおらず電気もついていない。
笛を吹いて見るとこちらに向かって正面から2,3匹の陰が通り過ぎていく。陰がやってきた位置にある
複雑なコンベアーや装置の下を覗いて見ると6匹はいるだろうネズミの一家がこちらを睨んで居て思わず
驚いて声を上げた。笛を吹いて部屋の隅に追いやり、箒で押しやって窓の外に放り出す。
数時間似たような作業を終えて、床下を見ていた体はすっかり機械を動かす油や床下の埃まみれになった。
依頼主からあらかじめ許可をとって掃除用のホースを壁にかけてシャワー代わりにする。
埃まみれの服を揉み洗いしたあと体を洗う。爪を立てて垢を取り体を洗うとホースの水が
足元を流れる頃には埃や垢などで茶色になっている。これでも数日に一度の入浴で幸せだったが
同時に自分もネズミと対して汚さは変わらないな自分と同い年ぐらいの子らは今頃家で
暖かい布団の中で寝てるんだろうか?と自分が惨めになった。これ以上自己嫌悪に陥っても意味は
ないので無理やり思考を遮る様に明日語るお伽話をどうしようかと考え、ため息をついてホースの
水を止めた。同じツギハギのボロ服を着直して依頼主から賃金をもらい、夕飯、というより
一日唯一の食事のパンを買って朝いた場所へ戻る。パロと再会してパンを食べて上着を毛布がわりに
パロと川の字になって眠る。そして翌朝。また、パロのおはようの声で起きる。はずだったが
目覚めて見るとパロがいない。代わりに小銃を持った憲兵たちがこちらに銃口を向けていた。
最前列の軍帽を着た指揮官に見える憲兵が威圧的で不快かつ下品な大声で叫ぶ。
「お前がアンリだな?話は聞いている。住民から通報があってだな。子供に対して危険な思想を伝播させ
街を練り歩き反乱を企てているのだろう!お前を国家反逆未遂と精神疾患の疑いで強制収容所へと
連行する!」とそれに対して私は誤解を解こうと必死になって足掻き、違う違うというが相手は
聞く耳を持たない。なんの騒ぎだと気になって集まってきた街の人々に助けを求めたが
銃を持った憲兵に怯えるばかりで、誰も私の肩を持つものはいなかった。1匹を除いて。
「だめだ!だめだ!」甲高い声で空から舞い降りたのはパロ。憲兵の軍帽を突き、私へ向けられた銃口を
止めようとしてくれた。その時、嫌な破裂音が聞こえる。パロが指揮官の持っている拳銃に
撃ち落とされた。「パロ!」慌てて駆け寄ろうとする私に対して指揮官が「捕えろ!」と号令を出して
銃剣がついた小銃を持った憲兵達が私に向かって突進してきた。私はパロの亡骸に触れる事も許されず
そこから必死で逃げ惑ったが、右足を撃ち抜かれ…それでも這いずり回って走れば左足を撃ち抜かれ
そしてついに地面に仰向けに倒れた時に、右目を銃剣で突き刺された。そこから意識がない。
そこから意識が覚めた時には知らないコンクリートの天井が映っていた。ベッドに寝かされている様で
起きようと思い体を捻り立ちあがろうとする。しかしその時妙な感覚を覚えた。足を動かそうとしても
動かないのだ。芋虫の様にもがいてやっとの思いで壁にもたれかかると両脚がなくなっていることに
気づいた。それだけではなく、右手に見えた鏡には顔の右側が異様なまでに腫れている。病院服をきた
私が映っていた。あまりのことに戦慄し、放心していると「ああ、また新しいのが補充されたのか、
次は俺かな。」そうため息混じりの声がもたれかかっている壁の向こう側から聞こえてきた。
「おい、新しいの、聞こえるか何が何だかわかんないだろうから説明してやる。
ただ看守に聞かれると面倒だ1回しか説明しないし声のボリュームは下げる。壁に耳を当ててよく聞けよ。」
言われた通りにもがいて壁に耳をあてるすると声が聞こえてきた。
「ここはネモルリエ中央精神病院。名前の通り精神病院だ。イカれちまったやつを元に戻すための
病院だ。表向きはそうなってる。だがこの内装汚いコンクリートの壁やら鉄格子なんかで
気づいていると思うがここは刑務所だ。それも無実の人間を収容するな。なんのために?って思っただろ
今説明してやる。お前は都市の中心に住んでるから知らないかもしれないが今外では死の灰と言う
ばら撒いた本人も収集つけられない最悪の化学兵器が蔓延しててなこれに一度でも触れて仕舞えば
細胞がすごいスピードで死んでいってボロボロになって全身朽ち果ててしまうんだ。
ただごく稀に例外が生まれる。死の灰は人間の細胞を異常なスピードで成長させて一気に年を取らせて
殺す兵器だ。わかりやすく言うとな。つまりその成長スピードに適応することができれば
生き延びることができる。しかも本来の人間よりさらに優れた強化された人間として生まれ変わってな。
その力のことを特異点って言うんだ。それでこのクソッタレな監獄だが、貧しくて身寄りのない。
要するに死んでも悲しむ奴が誰もいない様な人間を集めて死の灰をちょっとずつ体に入れて
特異点を確実に手に入れつつ尚且つ死の灰を確実に克服できる方法を大量の人間を犠牲に研究してるんだ。
信じられないだろうがそろそろ注射の時間になる。その時わかるはずさ。死の灰の恐ろしさ。
そして利益を得るために死に物狂いになった人の惨さをな。」という話を聞かされた。
「自己紹介が遅れたな。俺はボロディンって言うんだ。元々軍隊に徴兵された人間でな、それで
絶対にやりたくない人殺しを何度も何度も強要されたさじゃないと自分や仲間が殺されるからな。
それで俺たちは戦争に負けた。すると今度は俺らは無理やり徴兵された身分なのに自ら嬉々として
殺人に看過したイカれ野郎ってことになっちまった。おれはそう言う世間の風潮が許せなくてな。
特に、死んだ仲間を事情も何も知らないで人殺し呼ばわりするのが許せなくて…それでそいつを
撃っちまった。一般人をな。それで俺はここに捕まった。この件に関してはキレて撃っちまった
俺にも非はあるがここに囚われてる奴らは全く無実の奴らもいる。看守にこいつは人殺しだのなんだの
言われても絶対に信じるんじゃないぞ。」ボロディンがそういった時。憲兵の服装をした者が現れて
「出ろ。」の号令と共に鉄の扉が開かれた。私は車椅子というには憚られる拘束ベルトのついた
車輪付きの椅子に無理やり乗せられ、どこかへ運ばれていく。前には「わかってるって歩くから頼むから
銃を向けるのをやめてくれ」と後ろ手に手錠をかけられて頭に拳銃を突きつけられた男がいた。
声でそれがボロディンだとわかった。数分して再び前方に重い鉄の門が現れ憲兵と真っ白にガスマスクの
防護服を着た者が交代し、門の中へと運び込まれていった。
中にはただ壁と鏡。そして拘束具が4つ並んでいた。私は拘束具の隣に車輪付きの椅子ごと放置されて
拘束具にボロディンが貼り付けられた。後からボロディンと同じ様に3人拘束された。
一人は全身あざや傷に覆われて私達よりもキツく拘束されている青年。
一人は必死に拘束具から抜け出そうと猛獣の様に足掻き
様々な負の感情の表情を見せる私よりも幼い少年。そうして一人は目から光が消えている青年。
四人揃った時鉄の扉ががちゃんと大きな音を立てて閉まる。
ボロディンは「息を止めるんだなるべく長く。」そういって息を飲み込んで口を閉じた。
あざだらけのものは涎を垂らして騒音を出して動き回り。逆に先程まで足掻こうとしていた幼い少年は
人格が変わったかの様に「ごめんなさい」「ごめんなさい」と涙を流して急におとなしくなった。
そして瞳から光が消えている少年は天井を仰ぎ見ると狂った様に笑い出した。
それと同時に「プシューッ」と目に見えない何かが噴き出す音が聞こえる。
そのタイミングで全身が火傷をしたかの様にひどく痛くなってきた。おそらくこれが先程
ボロディンが言っていた死の灰と呼ばれるものなのだろう。霧の様なものを想像していたが無色透明
だった。そこからは永遠とも思える苦痛の時間が流れた。体はひどく痛み両目は目を閉じてもなお
溢れてくる血涙で一瞬にして見えなくなった。耳は聞こえなくなり、耳鳴りが脳をガンガンと打ち付ける。
鼻は感覚を残したまま切り落とされ、その上でさらに石臼でひかれているような痛みを感じた。
永遠とも思える時間だった。「プシューッ」という音が鳴り終わってから、苦痛は徐々に引いていった。
後からボロディンに聞かされたがあの数年とも思えた拷問の時間はたったの5秒の出来事だったらしい。
それから私達は服を無理やり脱がされ拘束されたまま体を勝手に触られ、道具の様に流れ出た血を
洗われた。そして再び独房に戻される。こうして私の独房生活の1日目が終わった。
2日目からというもの私たちは退屈を凌ぐべくボロディンとは壁越しに対話する仲になった。
私は沢山のお伽話や今までどの様な人生を歩んできたのか、そしてパロのこと、両親のことを。
ボロディンは他の収容されている人たちについて話してくれた。
拘束具が我々よりも多くあざだらけの者はババという名前で幼い時、コインロッカーに
入れられていたところを警察に発見されて保護され、その後孤児で育て上げられるも
その孤児院の状態はとても良いものとは言えず、躾と称して常に暴力を親代わりの人々から
振られていたとそしてやがて正気を失ったババは暴力こそが愛なのだと考える様になってしまい
孤児院を抜け出して、一人の女児を残虐に殺してしまったらしい。
その後女児の死肉を森の中で生で食らっているところを憲兵に捕獲されここに連れてこられたらしい。
負の表情をコロコロと変えて人格が変わった様に情緒が不安定な者はサティという名前で
生まれた時から解離性同一性障害を患っていたのだが生まれた地域ではその知識がまだ浅く
ただの変人だとして扱われむしろよく学校の者からいじめられていたという。
本当は4つの人格がありそれぞれが喜怒哀楽を担当していたのだが、ある時いじめに耐えかねて
5階建ての建物から飛び降り頭を強く撃った。奇跡的に一命を取り留めたものの
全ての人格をまとめていじめられても励ましていた喜の感情を司っていた人格は消えてしまい
やがて怒は憤怒へ哀は悲哀へ楽は虚無へと変わってしまい喜びの人格の死を永遠に
嘆き悔やんでいるという。
最後に目に光を宿していないものの名前はボロディンが来る前からいたらしくサティと同じ
地域の出身のものだったらしい。彼は軽い自閉症を患っており18歳になっても小学生の
様な言動を繰り返していた。それでも本人は自身の体に傷をつけ、自ら口を縫い付けて
どうにかして社会生活に馴染もうとした。しかし彼が異常者として周りから蔑まれているうちに
彼はどんどん普通の人間がわからなくなってしまいついに小学生の様な言動をしていた
時代に後戻りすることもできず口を縫い付けたりする行為からどんどん普通とはかけ離れていったという。
ボロディンとはモールス信号で会話していたらしいがこの実験に参加していくうちに
ついにモールス信号での会話もしなくなり表情も完全に固まり動かなくなってしまった。
本名を聞く前に正気を失ってしまった為もうどんな名前かわからず彼は勝手に目と面が無くなってしまった
者という意味を込めて無面目と呼んでいるらしい。
そんな生活を繰り返していくうちについにボロディンもおかしくなってしまい会話を
しなくなってしまった。そしてある日いつも通り拘束椅子に乗せられて実験室へ連れられる。
私以外いつのまにかみんないなくなっていた実験室。全員実験に耐えかねて死んでしまったのだ。
そしていつも通り私に対して死の灰を浴びせられた時だった。
私の体はついに覚醒したかの様に血の涙を流したまま目を開き、拘束具を容易く破った。
そのタイミングでアナウンスの様な声が流れる。
「非検体1984が特異点を獲得。死の灰を克服しました。特異点の内容を検知します。
異常を確認。複数の特異点を発現。
1つ。罪の重さという概念を実体化させ、実際の質量として出現させる
2つ。対象の肉体を対象の精神性、魂の概念に基づいて変形させる
3つ。人を狂気に陥れる。
以降複数の特異点発現を観測しかし内容は観測不能。
これ以上の実験は危険。非検体【アンリ・マユ】が特異点を使用する前に速やかに
銃殺処分を施してください」
本来なら聞こえないはずの音なのだろう。すごく遠くからそうアナウンスが聞こえた。
しかし私の特異点で成長し切った耳ではどんな壁も防音装置も意味をなさなかった。
ああどれほどこの瞬間を待ち望んだことか。この苦痛から解放されて今まで偏見や差別を
行ってきた者全てに復讐をし、差別をされてきた者に施しをしてかつて少年少女たちと共に
純粋な気持ちで街を練り歩いていたあの瞬間に帰ることを。鉄の扉の前に私は立つ。
銃剣で突き刺された目がひどく痛み、そこから黒い液体が流れ出てきた。
やがてそれは背中にまとわりつき大きな十字架の様な形になった。
直感的にこれは今まで私に対して行われた看守やその他関係者たちの罪なのだと理解した。
研究者たちから呼ばれていた私のコードネームは…私の名前はアンリマユ。直訳すると
【この世の全ての悪】という意味だ。なら望み通りいいだろう。お前らが振りかざしてきた悪を
この世の全ての悪を罪として一身に十字架として私一人で永遠に背負い続け思うままに振り翳さん。
拘束具が外れた拘束椅子はもはや私の足の代わりとなっていた。目から黒い鎖で繋がれた
十字架を勢いよく振り上げる。遠心力で勢いよく振られたこの世の全ての悪は私がこれから
永遠に背負うことになる十字架は最も容易く鉄の扉を打ち破ってしまった。
正面から銃を持った憲兵たちが見える。かつてパロを撃ち殺されたあの時の様に。
しかし放たれる弾丸はことごとく十字架に跳ね返され、勢いよく車椅子で突撃する。
「家族を目の前で撃ち殺され。埋葬すらさせてもらえない罪の重さを知れ!」感情に任せて
鎖を回して十字架を振り回す。十字架は棺の様な姿となって地面に叩きつけられる。
看守も巻き込みやがてその肉体自身を罪として飲み込んでいった。
その後も私は私以外は持つことも耐えられないであろう十字架を、偏見や差別の犠牲となった者たちの
棺を、そしてこの世の全ての悪…この世の全ての罪を振りかざした。
壁を打ち砕き天井を破り地面を叩き割った。私の進んだ後にはただ血溜まりが残される。
そして私の背負う罪は看守を殺すたびにどんどん大きく、被害者たちの憎悪の棺もどんどん大きく
重くなっていた。しかし私は全く持って辛くなかった。この世界は誰かの幸せのためにありそのためには
誰かが悪人になる必要がある。例えば英雄になりたい者がいるならそれに打ち倒される怪物が必要だ。
災害から守った賢者になりたいなら飢餓や地震や疫病が必要だ。私達は皆
平和主義者になりたいがために人殺しにされた者
常識人でありたいもののために普通から阻害された者
成長しない同い年を見て安心したいがために嘲笑された者
理解できないが故に4兄弟の1人を殺された者
誰かの幸せのために生贄にされたんだ。なら生贄になるのは私だけでいい。
私はアンリマユ。この世の全ての悪なのだから。皆が私だけを悪と見做し私だけを責め立てれば
不幸なものはいなくなる。しかし私が生まれる前に他人の私利私欲のために葬られた者のための
追悼をしなくてはならない。十字架を何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も
怒りのままに哀しみのままに失望のままに振りかざした。
何年の月日が経っただろう。私には神経を導線と直接接続し自由に動ける足が生まれた。
私は【アンリマユ】とも【1本足の怪物。バーバヤーガとも呼ばれる様になった。】
どうやら私の数えきれない特異点の中には不死もあったんだろうか?体が老いることはなかった。
そして何百年もの時を経てやがて追悼のために裁くべき人間を私は地上から一掃した。
文字通り監獄を抜け出してこの世界の全てから裁くべき人間を一掃した。さて次の仕事に移ろう。
私は再び監獄に戻り押収品管理室と名付けられた廃墟に押し入る。そこにあった私の笛を取った。
追悼の仕事を終えた十字架を背負うのは私だけでいい。それを気にかけるものは誰も必要ない。
私は顔半分を覆う鉄の仮面を作って十字架と鎖を元の液体。涙の姿に戻して、そして
眼窩の中に仕舞い込み鉄の仮面で蓋をした。ただ一人笛を吹いて廃墟を歩く。
それと同時に人の形をやめた3人がにじり寄ってきた。
一人は自分を守る様に殻を持ち、ウニの様な幾千もの棘を持ち耳のない顔を棘が貫き、銃を持った者。
これは周りの嘲笑から身を守り続け周りを刺したボロディンの魂。
一人は風船の様に空を飛ぶ眼球とその紐に括り付けられて縊首しているズタボロの
ランドセルを背負いつつサラリーマンの服をきた顔のない者。
これは普通の概念を追い求め、ランドセルの形を成した自身の精神。子供心を完膚なきまでに
傷つけられた上に他人の視線に殺された無面目の魂。
一人は三つの首を持ち赤子を抱えて泣き叫ぶ足元が燃え盛る者。
この三つ首は憤怒、悲哀、虚無で赤子は殺された喜びの感情であろう。その後を追おうと
体を燃やすがいくら経っても死ねないサティの魂。
笛を吹き鳴らす。そうすれば楽しげな音楽と共に悪とされてきたものを慰める追悼と賛美の
狂気の行進が始まった。1人また1人と魂は集っていった。生きたまま行進に加わり御伽話の怪物
の様な姿になるのを自ら望んだもの。人としての体裁を保ちつつも行進に参加したい者。
私は行進に参加したいもの全てを受け入れ、それら全ての責任を十字架として背負った。
そして私はやがて差別と偏見に苦しめられた者。彼らの親の様なものになっていた。
差別と偏見に苦しめられたものは血の繋がる家族からも差別された。しかしここでは違う
私のお伽のパレードの下では血のつながった家族よりも強い絆で結ばれている。
なぜなら皆同じ境遇にあったものだからだ。互いに支え合うことができた。やがて私たちは
このパレードをバーバヤーガファミリーと呼ぶことになった。
ここではいかなる偏見も差別も生まれない。何故ならそうされて生きて破滅してきた者
たちの集まりであり、偏見や差別をしたものはすぐさま私が殺し、十字架としてその罪を背負ったからだ。
ある人はバーバヤーガファミリーを理想郷と呼び、ある人は狂人らの集まりと蔑んだ。
私たちの外見は美しかった。愛人が絶世の美女でも心変わりしてしまえばおしまい
しかし我々は違う。我々の姿形は魂の形だ。他者の魂を受け入れ互いに愛し合う
我々に心変わりなど生まれなかった。こうして一族はどんどん繁栄を極めていった。
やがては魔術と呼ばれる非現実的な概念も手に入れ我々の一家は超越的な力を手に入れた。
巨悪すら閉口する憎悪と狂気と歓喜のパレード。その主役であるバーバヤーガの名の下に。
「おはよう!おはよう!」
「パロ!」思わず私は声を上げてベッドから飛び起きるベッドと言ってもぼろぼろの上着ではなく
清潔な羽毛布団でその枕は苔の生えた岩ではなく柔らかいクッションなのだが。
「おはようございます。お父様。」私を起こしたのはパロではなくバーバヤーガファミリーの
子供達だった。「そっか。パロは死んだんだったね。」子供達に気づかれない様に小さな声で微かに呟いた。
「お客様がお見えです。どうなさいますか?」それに対して私は答える
「私達に用があるとは物好きだね。私が相手してくる坊や、嬢ちゃん達は下がってて」
そうして指定された場所に向かうとそこにいたのは黄色いローブの様なものを着た人間の姿をした少女
だった。「どうも。御伽の主人。バーバヤーガさん。私は月の羊飼いと呼ばれてる魔術師です。
一つ取引をしませんか?」そう月の羊飼いは深々と美しい気品に満ちたお辞儀をして見せる。
「取引の内容とは?」それに対して月の羊飼いは「過去。未来。現在。位置。次元。これらの概念は
少しでもズレると壁が生まれ向かうことができなくなってしまいます。私の魔術にはその壁に門を生み出し
その鍵穴こじ開けることでありとあらゆる世界の過去や未来など前述したものを掌握して
移動できるものがあります。門を生み出し鍵穴をこじ開ける術を教えますので。
ある時代の【渚晴町】という街に向かってとある大事件を止めて欲しいんです。
もちろんメリットはそれだけではございません。その事件に巻き込まれた者は
貴方が家族と呼んでいる方々に近しい存在達であり偏見や差別に苦しんだ者達です。
そして何よりそれにバーバヤーガ様が触れることで少し興味深い新たな発見をされるかと。」と
バーバヤーガはその依頼を受け入れた。ある追加条件と引き換えに
地上の星 外伝総まとめ 2025年編 @suzume_sitakiri
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