神話文学講義
常陸 花折
授業シラバス・課題内容及び評価基準
【到達目標】
1.各文化圏の主要な神話文学の特徴を説明できる。
2.神話を宗教や哲学ではなく、文学的構造として分析できる。
3.音声・リズム・反復構造などの詩的技法を理解し、“語り”の魔術的要素を説明できる。
4.自身の文化的背景から神話を再解釈する視点を持つ。
【授業計画】(全14回)
第1回 導入:星々の語りと神話文学とは何か
神話の定義/口承と文字の境界。
教員の自己紹介:「光年単位の語り」を持つ存在としての語り手論。
課題:自分の知る神話を一つ挙げ、文学的特徴を200字で分析。
第2回 創世神話Ⅰ:混沌からの生成
ギリシャ『テオゴニア』、日本『古事記』、メソポタミア『エヌマ・エリシュ』の比較。
原初の“無”から“言葉”が生まれる瞬間の描写を読む。
第3回 創世神話Ⅱ:神々の秩序と反逆
ウラノス・クロノス・ゼウス型神話と、出エジプト記・北欧神話に見る「父殺し/秩序転換」。
課題:神話における“暴力の正当化”について小論(600字)。
第4回 英雄叙事詩Ⅰ:ギルガメシュの孤独
『ギルガメシュ叙事詩』の原文朗読と翻訳差異。死生観と“友”の位置。
永遠への欲望を文学構造として読む。
第5回 英雄叙事詩Ⅱ:ホメロスと口承詩人の技法
『イーリアス』『オデュッセイア』の定型句・反復・韻律。ミューズへの祈りの構文解析。
実践課題:定型句を模して短詩を作る。
第6回 東方の詩篇:マハーバーラタとラーマーヤナ
詩聖ヴァールミーキと語り手の倫理。カルマと運命の物語構造。
講義では“詩篇朗唱”を音声で再現。
第7回 北方神話と終末詩:ラグナロクの言語構造
『ヴォルスパ』を中心に、終末神話の反復・予言文法を分析。
“詩的予言”が社会秩序を支える仕組みを考える。
第8回 中間考察:神話を読むとは何をすることか
小テスト+講義総括。
学生は自文化の“現代神話”を一つ選び、分析レポートのテーマ案を提出。
第9回 詩と呪文:言葉の力の起源
言葉の再帰性と命名の魔術。
『出エジプト記』の“名”の神学、北欧ルーン詩、シュメールの“言霊”概念を比較。
第10回 語りの魔術Ⅰ:リズムと変性意識
韻律・反復・呼吸構造が聴者の意識を変えるメカニズム。
プロキシマが“詩の周波数”を可視化する実演映像を提示。
第11回 語りの魔術Ⅱ:叙事詩と呪術の交点
魔術的語法の文学的分析。
アフリカ口承詩・アイヌ叙事詩・ケルト伝承を取り上げ、“語る=行う”詩の力を考察。
第12回 再解釈としての神話文学
近代以降の再構築(ブレイク、イェイツ、宮沢賢治)。
古代神話を“個人の神話”として再創造する文学的試み。
第13回 現代神話とポップカルチャー
SF・アニメ・ゲームに見る神話構造。
スター・ウォーズの英雄譚とモノミス理論。通信社会における新たな神話創造。
第14回 最終講:語り手としての人間、そして星
総括講義。言葉・詩・宇宙の関係。
学生は最終レポートとして「神話的語りにおける“世界生成”」について1500字考察を提出。
【成績評価】
週次課題提出(40%)
中間課題(20%)
最終レポート(40%)
【教材・参考文献】
・『ギルガメシュ叙事詩』
・『ホメロス叙事詩』
・『マハーバーラタ』
・北欧神話詩篇『エッダ』
・プロキシマ・ケンタウリ編『星間口承詩篇序説』(ストラテッラ大学出版局、電子資料)
【履修上の注意】
・本講義は“文学としての神話”を扱うため、信仰や宗教的解釈は対象外とする。
・通信制につき、毎週のレポートは映像講義視聴後3日以内に提出すること。
・第8回以降、詩篇朗読実験映像の一部に音響変調が含まれるため、イヤホン視聴を推奨。
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