未完成の殺し屋
ぱぴぷぺこ
第1話 硝煙の子供たち
町はかつての
道とも呼べない
彼の名はラーシュ。
彼は戦火の
戦いが
日々、大人たちは遠くから見守り、
その中で、最も
彼は
その
◇
いつも通り、
早すぎれば
このギリギリのタイミングが彼の
彼はその間を抜け、まず
屋根も飛び、壁は
助けようと立ち上がったとき、
(まずい! まだいたのか……!)
すぐに身を
「おい、誰かいなかったか」
すると低い声がラーシュの耳に届いた。
「動くなよ。どんな音がしても。動いたら、俺でも守れねぇ」
(──誰?)
見ると子供たちの前にもう一人、西の制服の
顔も泥まみれ、
上階には瓦礫を
「反応なし。ほんとに誰かいたのか? 気のせいじゃねぇのか?」
生き残りの兵士を探しに来たみたいだった。下の階では誰もが息を殺し身を
そのとき、別の敵兵が足を止めた。
「……おい、そこ、音したぞ」
「風かネズミだろ」
「いや……」
東軍の兵士は銃を構えた。確信はなかったが、戦場での
「念のためだ。
ダダッ、ダゥンッ――!
三発の銃声が瓦礫に
その直後だった。
「ひっ……! うぅ……!」
子供の一人が、
「やはり誰かいるぞ!」
「――チッ」
舌打ちと同時に、傭兵が動いた。
「バレた。いいかお前ら、
そう言うと彼は瓦礫を押しのけて立ち上がった。
「いたぞ!!」
「 あそこだ!」
「敵兵か!?」
兵士たちが声を上げ、一斉に銃を構え駆け出して来た。
◇
目の前の瓦礫に
「絶対に動くな。音が聞こえたら、耳を
そう言って彼は子供たちを置いたまま、崩れた出口から外へと飛び出した。
ラーシュが敵の位置を確認すると、既に五人の敵は
でも、傭兵は普通じゃなかった。
彼はいつの間にか、瓦礫をつたい、
背中に
そんな
◇
敵の一人が、
「そこだ……! シートの下、子供だ!」
確認に気を取られている男の
――パスン! 動きを止めた。
「
二人目が声を発する前に、二発目が
いきなりの狙撃に残り三人が振り返った。
「狙撃手がいる!
だが、見上げた三人目の男の視線の先に、その姿はなかった。
兵の
敵兵の足元の金属を撃ち、
その声に二人が駆け寄った。
四人目と五人目が合流しようとした瞬間、三人の視界に
ドォー…ン!
階段ごと地面に吸い込まれた。
音と、振動、瓦礫の舞い上がる
舞い上がる
バズン! バン! バンッ!
三発の銃声が、
銃声が止み、静まり返った
その瞬間。
彼の後頭部に、ヒヤリと冷たく硬い
「なんだ、ガキか?」
背後から聞こえたのは傭兵の声だった。
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