星の言葉。

 まろんは草の上に寝転がって、空を見上げた。


「りいあ、あの光、見える?」


 隣で寝ているりいあが、小さく頷く。


「うん。いっぱい光ってるね」

「でもね、ひとつだけ、泣いてる星があるの」

「え、星が泣くの?」


 まろんは指で空をなぞる。

 そこには一つ、集団から外れてる星が。


「きっと、さみしいんだよ。お空のなかで、ひとりぼっちなんだもん」


 りいあはしばらく黙って、それから言った。


「じゃあ、ぼくが話しかけてみる」

「どうやって?」

「んーとね……だいじょうぶだよって、心で言うの」


 ふたりは目を閉じた。

 風が草を撫で、虫の声が遠くで鳴った。

 世界がゆっくり静かになる。

 しばらくして、まろんが目を開ける。


「あっ、泣いてた星、笑ってる」

「ほんと?」

「うん、りいあの声。届いたんだね」


 りいあはにっこり笑う。

 そのとき、ふたりの頭上に、ひとすじの流れ星が走った。


「まろん」

「なあに?」

「ぼくも、あの星に……なるんだって」

「……え?」


 りいあは、星の光に溶けるように、ゆっくり消えた。

 りいあは星の子供だったのだ。


 三日間だけ、地球にお出かけしていただけの、星の子供。

 まろんの頬に、涙が落ちる。


 ひとりぼっちだった星は、もうひとりぼっちじゃ無くなった。

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