霧の魔女は死にたがり

かとりぃぬ

プロローグ

その日も、カウンセリングを受けていた。


毎週行われるこの時間に、一体何の意味があるのだろう。

カウンセラーは、私が何を話しても「それは辛かったね」「分かるよ」と、共感ばかりだ。


分かるわけがないだろ。


クローゼットの奥に、いつでも首が吊れる用のロープを括り付けたことがあるのか?

突っ張り棒で、自分の足がアザだらけになるまで衝動的に叩いたことがあるのか?

電車がホームに入ってくる度に、足にグッと力を入れて、衝動を抑えたことがあるのか?


そんな経験、一つもない人間に、私のこの深い孤独と、死への欲求なんて分かるはずがない。


だから、私は変わらず、心の底で死にたいままだ。

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