穴熊家族の物語です④

乾 未知(いぬい みち)

第4話 あなぐまファミリーのしあわせ

ボクは、穴熊のチビッキー。


父さんコアッキー、

母さんアッキージョ、

そしてきょうだいたちと、

人里の静かなおうちで仲良く暮らしているんだ。


きょうだいのなかで一番小さいから、

「チビッキー」って名前がついたんだよ。


父さんは、ボクが「もっともっと大きくなれるように!」って、

おいしいミミズやネズミをたくさん捕ってきてくれる。


母さんは、「いっぱいお食べ!」って、食べきれないほどの

甘いスイカやメロンをくれるんだ。


おかげで、ボクも少しずつ大きくなって、

家族みんなで食べ物探しのお散歩に行ける

ようになったんだよ。


ある日、ボクより先に父さんとお散歩していたお兄さんが、

こっそり教えてくれたんだ。


「チビッキー、知ってるか? 犬のごはんって、

 びっくりするほどうまいんだぜ!」


「エッ!? あの『ワンワン!』うるさくて、

 ちょっとにおう、あの犬の!?」


そう、この間、雨でお父さんとお散歩に行ったときのこと。


犬が濡れないようにおうちに入れられていて、

ごはんだけが外にあったんだ。


こーっそり近づいて、ひと粒つまんでみたら……


「これが、たまらなく美味!」なんだって!


「えーっ!いいなぁ、ボクも食べてみたいよー!」


その話をそばで聞いていた母さんアッキージョが、

「ダメ!犬のごはんは、ぜったいにダメよ!」

 って、強く叱ったんだ。


でもその後、母さんは優しくこう言ってくれたよ。

「犬はダメだけど、今度、猫さんのごちそうが

 食べられる場所に連れて行ってあげるね」


「ヤッター!」お兄さんとボクは、抱き合って大喜びしたよ!



(この「キャットフード」っていうごちそうは、後になって、

 ボクたちの『冬ごもり』のたいせつな宝物になったんだ)


外はもう、シンシンと雪が降るくらい寒いけど、

家族みんなで、ぬくぬく身体を寄せ合って眠るのは、

とっても楽しいんだ!



あったかくなって、またみんなで食べ物探しに行けるようになるまで。



「おやすみなさい!」



              完



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穴熊シリーズ続編×3で一応完結です

読んでいただきありがとうございました。

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