「雲行き怪しくなってきたなぁ」


 タバコから上がる煙を追うように換気扇を睨む。

 ハロウィンのイベントに参加していた女性達と偶然出会い聞いた話。

 会場でエリスを見かけたのは二回。


 一回目は首を抱えている状態で。

 二回目は誰かと一緒にいる時に。


 仮装のクオリティーが高くて目を引いたと言われ、そりゃほんとに首と体が別々なんだから当たり前と思ったけど、どうやら一緒にいた誰かの仮装も同じぐらいの完成度だったらしい。


 二人と別れ改めてエリスに確認を取るも記憶には無い。

 てことは二回目のは生首を落とした後の出来事になる。


「一体誰なんだろ」


 仮装の完成度が同じって部分で考えるとエリスと同じハロウィンにつられてこっちの世界にやって来た別の世界の住人って可能性もある。


「でもエリスは心当たりないって言ってたし」


 たまたま巡り会ったのかな?

 私の髪色見て勘違いするぐらいだからそういう存在って意外と近くにいるのかも知れない。


「頭にカボチャ被ってたみたいだけど、なんだったっけ? あのハロウィンと言えばコレって感じの格好」


 暗がりにスマホの明かりが灯る。

 ファンのカタカタ音は嵐の前触れのように思えた。



 十一月十日。深夜。

 灰皿にタバコの吸い殻を押し付け二本目を咥えた。

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