黒月に祈る
光春樹
プロローグ 伝承
はるか昔。
ひとりの男が、祈ったという。
「この畑から、もっと作物が実りますように。」
すると、悪魔が現れた。
「人間の“苦しみ”を代償に、願いをかなえてやろう。」
男はうなずき、仲の悪かった隣人の畑に塩をまいた。
隣人の畑は死に、男の畑には信じられないほどの作物が実った。
その日以来、村には苦しみと災いが満ち、やがて男自身も姿を消した。
悪魔は言う。
「生み出された苦しみは、世界に“可能性”を与えるのだ」と。
この話を作り話と笑う者もいる。
だが古い民は、こう語り継いでいる。
——この世には、悪魔がいる。
人の苦しみと引き換えに、願いを叶える者が。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます