第22話 息の合う三人と、微かな違和感
魔導灯が青白く照らす通路を進む三人。
さきほどの戦闘で空気が一段と張りつめていたが、
不思議と足取りは軽かった。
「ねぇ、星牙」
レンが横目で問いかける。
「さっきの重力魔法、あれ新しいやつ?」
「最近調整しただけだ」
「相変わらずサラッと言うけど、めっちゃエグかったからね? 地面割れてたよ」
「……調整不足だったな」
「そういう問題じゃないって!」
クレアが後ろからくすくすと笑う。
「でも、頼りになりますよ。
私の結界、ほんの少し押されてましたもん」
「それはお前の結界が甘い」
「き、厳しい!」
そんな掛け合いをしながらも、
三人の歩調は乱れない。
互いの間合い、視線、呼吸――
すべてが自然に噛み合っていた。
「次の角を曲がった先に、また反応がある」
星牙が前を見据え、指先で地図を示す。
「中級魔物二体。たぶんオーガ系」
「了解。火力で押す?」
「いや、レンは右。俺が正面を取る。クレアは左から結界で囲え」
作戦はわずか三秒で決まった。
轟音――。
二体のオーガが通路を揺らして飛び出してくる。
星牙は即座に詠唱を開始した。
「【
地面が沈み、オーガの足が一瞬止まる。
そこへレンの魔法が炸裂した。
「【
赤橙の閃光が弧を描き、
オーガの胸を貫いた。
爆風に巻き上げられた砂塵の中、
クレアが淡い光の輪を展開する。
「【
光の輪が周囲を包み込み、
飛散する破片をすべて弾いた。
「ふぅ……っ、今の、完璧じゃない?」
レンが笑みを浮かべる。
「まぁ、悪くない」
「ちょっとは褒めなさいよ!」
そのやりとりを聞きながら、
クレアがふと立ち止まる。
「……ねぇ、星牙君」
「どうした」
「さっきから、魔力の流れが……変なんです」
「変?」
「はい。まるで、誰かが“上書き”してるみたいな……」
星牙は眉をひそめ、掌を地面に当てた。
……確かに。
微弱だが、人工的な“魔力の揺らぎ”が残っている。
「誰かが仕掛けている可能性があるな」
「まさか他のチームが……?」
「いや、これはもっと……歪だ」
レンが眉をひそめる。
「また何か起こるってこと?」
「わからない。だが、警戒はしておけ」
三人は無言のまま、通路の奥へと進む。
その先――
淡く輝く魔力核が見えた。
「……目的地だ」
星牙が呟いたその瞬間、
背後の壁が音もなく崩れた。
黒い霧が、ゆっくりと広がっていく。
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