スキル『怪盗』で人の魂まで盗んでゆく〜最弱スキルと罵られたけどなんでも盗める万能スキルでした〜

第1話 平凡<カオス

　盗乃神（とうのじん）成績、テストの点数そして運動全てに関して平均 of the平均、特徴と言えばラノベ小説を読み漁ってたくらいだった俺は異世界でテンプレを踏襲しています。

━━━遡ること小一時間…

　「盗乃！いっしょに帰ろうぜ！」

「オッケー、正門で待ち合わせな」

そう会話をした後教室の中央から端に届く程の巨大な魔法陣が出てきて教室にいた人達は次々に消えていく。

(あー…これ異世界転移かな…もしかしたら新しい化学兵器…死ぬのかな…)

　死ぬ瞬間というのはどうやらそこまで恐怖は無いようだ。ため息をつきながらそっと目を閉じる。

次の瞬間、瞼越しでもわかるほどの強い光に覆われる。

「うっ…！眩しっ…」

　目を開けた時、そこは教室ではなかった。

「ゴホンッ！諸君、勇者召喚に応じてくれ感謝する！これより諸君にはこの大陸に蔓延る魔王を倒してもらう！！」

わざとらしい咳払いの後にいかにも、テンプレ要素しかない言葉が発せられる。

(え、やっぱりー？俺絶対序盤で死ぬキャラ筆頭じゃん…)

「それではこれより、職業鑑定を行ってもらいます、こちらにお越しください」

修道着を着た女性が水晶玉まで、誘導する。

「あなたは…勇者様ですね」

「あなたは…聖女様」

(いかにも強そうな職業だなぁ…って次俺か…)

「あなたは…怪盗！？」

宮殿にざわめきが起こる。

国王と思わしき人物が般若のような顔で俺を睨む。

「お前…あの忌々しきルパンの息子か孫なのか！！国外追放にしろ！！」

(え？え？ええええええ！？)

そして俺は最初の街に辿り着くこともなく、国外追放された。

━━━━━━━

　「終わった…人生終わったなー」

見渡す限りの草原の中独り言をつぶやく。

(ステータスオープン…って言っても出るわけないか…)

ブォン

目の前に水晶のような透き通る画面が映し出される。

「テンプレだなぁ…」

職業怪盗

能力

あらゆるものを盗める

注意　スキルなども盗めます

(は？いやいやいやいや、おかしいおかしい、チートじゃん…)

『キュキュッ』

(一角兎！？あー、はいはい、心臓貫かれてゲームオーバね、いや…職業スキル試してから死のう…)

「盗」

そう唱えると同時に一角兎からは角が消え、俺の額から15センチ程の角が生えていた。

(あ、これ俺悪役ルート真っ只中かもしんね)

「え…えーと？能力を返すのは…返」

俺の角が消えると同時に一角兎に角が戻る。

「へーこんな感じなんだ…って…いてっ…ちょっ…頭擦り寄せんな！いてっ…」

ブォン

一角兎をテイムできます。テイムしますか?

YES or NO

(テイムとかテイマーにしかできないんじゃないの！？)

「えじゃあ…YESで」

一角兎のテイムに成功しました。

おめでとうございます。

一角兎と魔力契約を交わしました。

好きな時に呼び出せます。

一角兎のスキル　角を使用可能です。

一角兎がレベルアップしました。

スキル　NEW!!分身NEW!!突針

職業スキル怪盗がレベルアップしました。

スキル　NEW!!煙幕NEW!!ワイヤー

(スタ連かな…？)

「え…と…じゃあ一角兎召喚！」

一角兎が目の前に現れる。

「一角兎って呼びにくいな…これからお前の名前は…ラビミアスだ！」

『キュキュッ！』

「次は…煙幕！」

ボワッ…

「めっちゃ煙…次は…ワイヤー！」

ヒュンヒュンッ！

「あー手からワイヤーが出てくる感じね…ハイハイなんとなく理解した…ならスキルの重ねがけは…ワイヤー✕角！」

ワイヤーから大量の角が出て地面に突き刺さる。

(え急に殺傷能力高くない？)

「ここら一帯の魔物の能力盗んで狩ればかなり強くなれるんじゃ…？」

(まぁ、なんの罪もないであろう魔物を殺すのは心苦しいけど、生き残るためだし、しょうがないかな…)

「ラビミアス！周囲の索敵出来るか？」

『キュッ！』

ラビミアスが一声鳴いた瞬間にラビミアスが大量に出てくる。

「おぉ…凄いな…えーとじゃあついでに一角兎以外の魔物を生け捕りにしてきてくれるか？」

『キュッ！』

━━━━━━━

(流石に予想外だったなぁ…ここまで集まるとは)

眼前には6メートルはある魔物の山。6時間ほどかかり能力を奪い終えた。かなり強くなってると思う。

「ステータスオープン」

能力

職業スキル　怪盗　煙幕　ワイヤー　絶影

テイムスキル　角　分身　突針

取得スキル

アクティブスキル　熱　冷　帯炎　帯水　帯電　付与

パッシブスキル　増筋　瞬足　ダメージ軽減7%　痛覚軽減20%　冷静沈着

(まぁ、かなり強くなったんじゃないか？これで野営とかも大丈夫かな…？)

「ラビミアス、分身を使って家作れない？」

『キュッ？』

(さすがに無理かな…どうしよ…今日はここら一帯狩り尽くしたから大丈夫でも、明日には移動するから大丈夫じゃないかもしれない…)

「これは早急な対策が必要かな…」