水音の記憶

cotocoto

第1話


しとしとと

降り続く雨は

私の涙かもしれない

空が泣いているのかもしれない

冷たい滴が

手のひらに落ちて

すぐに消えていく

あまりにも儚く

まるで

過ぎ去ったあの日々のように

傘の下

一人佇む

世界は灰色に滲んで

音だけが響く

水溜まりを跳ねる

遠い車の音

風に揺れる枝葉

寂しさが

胸の奥で

小さな塊になる

でも

ふと

思い出す

誰かの

優しい声

雨宿りをした軒下で

分かち合った温かい飲み物

その手のぬくもり

静かな微笑み

雨が

全ての悲しみを

洗い流してくれるように

やがて

雨上がりの光を

待つように

心に

小さな

灯りがともる

この冷たさも

寂しさも

きっと

誰かの優しさと

繋がっている

雨よ

降り続けてくれ

この温かい記憶を

守るように

そっと

そっと

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水音の記憶 cotocoto @cotocoto_1224

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