水音の記憶
cotocoto
第1話
しとしとと
降り続く雨は
私の涙かもしれない
空が泣いているのかもしれない
冷たい滴が
手のひらに落ちて
すぐに消えていく
あまりにも儚く
まるで
過ぎ去ったあの日々のように
傘の下
一人佇む
世界は灰色に滲んで
音だけが響く
水溜まりを跳ねる
遠い車の音
風に揺れる枝葉
寂しさが
胸の奥で
小さな塊になる
でも
ふと
思い出す
誰かの
優しい声
雨宿りをした軒下で
分かち合った温かい飲み物
その手のぬくもり
静かな微笑み
雨が
全ての悲しみを
洗い流してくれるように
やがて
雨上がりの光を
待つように
心に
小さな
灯りがともる
この冷たさも
寂しさも
きっと
誰かの優しさと
繋がっている
雨よ
降り続けてくれ
この温かい記憶を
守るように
そっと
そっと
水音の記憶 cotocoto @cotocoto_1224
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
甘い秘密/cotocoto
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
光の記憶を持つ雨/cotocoto
★12 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます