第一部一章二話特殊依頼をこなして③
◇◇◇◇◇
「ああぁあ〜!
屈辱だぁ
この数ヶ月くらいで、たった十五回くらい?
依頼を失敗したからって…
こんな依頼を僕らに回すなんて…!!」
イルは半べそ顔になり、
全身を土塗れにしながら嘆いていた。
ギルド職員から最後通告として、
課せられた"特殊依頼"とは…
"畑仕事"
郊外の農家の収穫を手伝う
…のが、ミッションだった。
「文句を言うな!
この依頼、達成できねば…
町からの追放と
ギルド出入り禁止なのだぞ?」
通常、冒険者ギルドでは、
"このような"
依頼は受け付けない。
町中であり、
安全が確保されている仕事であれば、
一般の求人募集に出せばいい。
冒険者ギルドでは、危険が伴い、
一般人では解決できない案件を受け付け、
扱っているのだが…
今回は特例だった。
本来なら失敗続きだった冒険者に
ギルド職員は、
冒険者認定停止の処置をするところだった。
それは単に出来損ないに対する
冷徹な切り捨て…という意味だけではない。
戦闘に向かない者が無理をして
凶暴な魔物と対峙すれば…
下手をすれば、怪我だけでは
済まないからだ。
夢を見るだけで…
己の実力に見合わない無茶をする
若者を牽制する為にも、
ギルドとして、時には非常な決断を
しなければ、ならない時もある。
だからこそ、ステータスタグには
冒険者ランクがあり
一向に向上しない者には、
裁定が下される。
しかし…
リーンの所持する虹色のタグだけは特殊だった。
これを一目みた職員の上司は
(顔色を変え)認定停止だけは回避するよう、
部下である職員に命じた。
特例にする理由を…
部下である職員は聞いたが、
上司にすら説明ができない、という。
ただ…
世界中にあるギルドの、
その総本部から伝わる伝令では、
虹色のタグプレートを持つ者の
冒険者剥奪は不可能。
…そのタグは、特別である。
とだけ伝わっていた。
虹色のタグを所持していた
術者??リーンと、
新人剣士イルの処遇に
悩んだギルド職員は…
かくして、
特例の"畑作業依頼"を
彼らに受けさせ、
成長を応援する判断を下すに至った。
畑仕事をする冒険者…と。
後日、同業者に大笑いされる
リーンとイルではあったが。
◇◇◇◇◇
(特殊依頼をこなして④へ続く)
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