お父さんの知り合いのお兄さんの話

からあげぽっぽ

プロローグ 一通の手紙

―――先日、抗争にてウチのもんが一人死んだ。 



まぁ、こんな後ろめたい仕事しとったら、そんな珍しいもあらへん。せやけど、今回はちゃう。盃を交わし兄弟の契まで結んだ、そんなやつが死んだのだ。 


俺は普段役持ちでもない限り、葬式なんかに顔は出さん。だが今回ばっかりは、、、参加せなアカン気がして線香上げて、花も手向けてきた


通夜も終わって、式場から出ようとしとったときや。部下の同期のやつが一通の手紙持ってきよった。


その内容をざっくり要約すると、『自分には一人娘がおる。そいつの面倒を兄貴である俺に見てもらいたい。家族とはもうとっくに縁切っとるし、亡くなった嫁の実家の方も、俺の仕事や見た目のせいでよく思ってへん。娘のことも邪険に扱うてきたから、ここ数年は連絡も取っとらん。』

……やと。


読んだ瞬間、思わず笑てもうたわ。冗談あらへん。ガキ一人が何かをやらかせば、その比じゃないほどのツケが俺に回ってくるんやぞ。


その時は返事もせんと、ちぃっと毒づきながら帰ったんや。

そもそも、こんな後ろめたいモンに首突っ込んどるワシが、ガキの世話なんかやっとれるかい。というかこの見た目でちっこいガキ連れてるだけで

即刻ポリ公お世話案件やろ。その時は...そう思てた。


――けどな。

人の縁いうんは、こっちが投げても向こうから戻ってくるときがあるんや。


今思たら、なんかの気の迷いやったんやろな。ほんま、アホらしいわ。

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