クッキーとホットミルク
浅川 六区(ロク)
980文字の物語
うちの小学校では、
先生が私たち児童を
先生方は、時代の流れだねと言います。
以前はー、数年前かもっと前の昭和か大正か、その頃は授業中におしゃべりをしているとチョークが飛んで来たり、廊下につまみ出されることもあったらしく、今ではそういった過去の悪しき遺産は姿を消しています。
わたし調べでは、――…みんなの前で叱られると、その者には「恥ずかしさ」や「屈辱感」だけが残ってしまい、本来指導されるべき大切なメッセージがぼやけてしまうとのことだ。
確かにそうだよね、みんなの前で大声で叱られたりしたら、何の理由で叱られてたのか、分からなくなるかもしれませんね。
近隣の学校では、大勢の教員が見守る職員室内ではなく、誰もいない個室に呼び出して、言葉遣いもやんわりと、そして丁寧に、って、腫れ物に触るように指導するようになったらしいです。
そのうち児童への気遣いが行き過ぎて、クッキーとホットミルクまで出されるようになったりするオカシナ時代が来たりしてー。そうなったら笑ってしまいますよね。
確かに私たち小学生、児童は、感受性に富んでいて、とてもナーバスで多感な世代の生き物だから、指導者の叱り方一つで大きく成長したり、または違う路線に進んでしまう事だってある訳で、そこは慎重な対応も必要かもしれませんね。
児童の中には、厳しく指導されて飛躍的に伸びる子もいます。そういった子には、少々厳しくても良いのかなとも思いますが、反対に、褒められることで気付きや芽生えがある子もいますもんね。
今の時代、指導者は本当に大変な職業だと感じます…。
わたしが今思うのは…
「あのー、夏子さん」指導担当の葉子先生がわたしの独白を止める。
「あ、…はい」わたしは葉子先生の顔を見つめる。
「もうそろそろ、いいかな?」
「…はい」
「今の夏子さんの長い長い独り言は、決して悪い事ではないんだけどね」
「はい。すみません、少し長すぎました」
「ところで夏子さんはどっちのタイプなの?叱られて伸びる子?それとも褒められて伸びる子なのかな?」
―――そうだった。
わたしは今、宿題を忘れて職員室に呼び出しをされている所だった…。
わたしは葉子先生に言った。
「わたしは、ショートケーキとオレンジジュースで伸びる子です」
Fin
クッキーとホットミルク 浅川 六区(ロク) @tettow
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