とろける蜜の魔薬師ラブダーク

新田にのこ

第1話 見極めの儀式


王宮の一室

美しい青の部屋 


繊細な金の装飾が施された扉が開き、男が入ってくる

暗闇で顔は見えない

細く長身、腰まである長い銀髪


男は肩からかけていた、上等な絹の布で縫い上げられた白いローブを

石造りの床に滑り落とす


サラリ、音がした


そこまでもう待てない、というように


大きな部屋の奥に見える天蓋が付いたベッドには、

小さな少女が震えながら座っている


ベッドの横には、小さなロウソクが置いてあり、わずかな灯りで辺りを揺らしている


その灯りで少女の顔を確認する男



「私のラブダーク…」


闇に響く優しい声で語りかける


ラブダークと呼ばれた少女は、潤んだ瞳で男を見た


優しい声に相応しい優しく美しい顔、常に微笑んでいるような口元、

澄んだ湖のような青く銀色の瞳


「ラブダーク」


男はまたそう呼び、少女の頬に冷たい手を置いた


「セシル様…」


セシル、と呼ばれた男はニコリと微笑む


「さあ、チェルシー、いつものように自分を慰めてみて」


チェルシーは昨夜もそうしたように、

「どうぞもう…お許しください」と言ってみたが、

セシルはただ微笑むだけ


チェルシーは18歳

しかしまだ子供のようにあどけない顔をしている


彼女は許されることを諦め、シャツのボタンを震えながらゆっくりと外す

窮屈な服から解き放たれた白い肌の大きな乳房が揺れた


琥珀色の瞳がセシルを捉える


セシルはその怯えた瞳さえも今夜のご馳走だ、と思う


チェルシーが来ていた服を脱ぐ間、

セシルはロウソクの横に置かれていたワインを楽しんだ


もちろん目線は、徐々に生まれたままの姿になるチェルシーから外すことはない

瑞々しい白い肌は暗闇でも怪しく艶やかに光る


ワインを半分飲んだ時、

ようやくチェルシーは全裸になった


セシルは無言でワイングラスをテーブルに戻し、

乱暴にチェルシーの膝を掴んで大きく開かせた


「あっ…」


ピンク色の秘部が男の目の前にさらけ出される


「さあ、チェルシー」


チェルシーは促されるまま、白くて細い小さな指をその秘部に当てて擦った


恐怖で全く濡れていないため、小さな指でも挿入出来ない


「まだ慣れていないから仕方ないね…手伝ってあげる」


セシルはチェルシーの体をお人形を弄ぶように自分の前に抱き抱え、

大きな乳房を揉みしだいた


「あ、あっ」


一瞬にしてチェルシーの頬がピンク色に染まる


折れそうに細い首筋に唇を這わせ、敏感な乳首を指で転がす


「ああっ…んっ…」


「さあ、ちゃんと指を動かしてみて」


一瞬で上がった体温、奥を求め始めた自分の指、


ピンク色の唇を大きな唇で塞がれた時には、


ちゅく、ちゅく、


といういやらしい音を立て始めた


セシルはその部分を後ろから覗き込む


「もっと早く動かして」


チェルシーは言いなりになった


指先が入り口に激しく出入りしている


てらてらと光る液体が付いているのが見えた


セシルが乳房をキツく掴むと、指の動きが奥で止まり少し上下する

「はぁっ…」

大きな声を出すまいとする姿がセシルをさらに興奮させた


「私の可愛いラブダーク、我慢しないで」


セシルはチェルシーの入り口の上にある最も敏感なところを剥いて摘んだ


「あっ」


小さなロウソクが大きく、揺れた



*****


その大きな国の町や村には、

全て鳥の名前が付く


王宮がある町「青い鷹」から馬車で3時間のところに、

「金色の雷鳥」という町がある


この町は少し特殊で、

ここに住む人間はみんなそれぞれ

「能力」を持って生まれてくる


というより、「能力」を持ったものが集められて出来た町という歴史がある

「能力」は主に血で受け継がれ、この町の住人はその子孫たちなのだ


魔物と呼ばれる恐ろしい敵が溢れているこの世界で、彼らの「能力」がなければ人間は対抗出来ない


「血」を薄めないために、この町の人間は

この町の者同士か、「能力」を持った者とのみに婚姻が許されている

そして「能力」を持つ子孫を増やす


金色の雷鳥の

神のご加護か悪魔の呪いか、生まれた子供の能力には個人差があり、

生まれた瞬間に「見極め」の儀式が行われた


大司祭は赤子が生まれると「見極めの王冠」をその頭の上に載せる


王冠には大きく美しいダイヤがはめ込まれていて、

赤子の能力によって繊細に色を変える


大司祭はその色を読み取るのだ



チェルシーが生まれたのは18年前の冬


気が弱いが善良な両親の元に2人目の子供として生まれた


1人目の男の子は、平均より上の「水」の能力を持っていた


生活にも、戦闘にも重宝されるので両親は喜んだ


両親はごく一般的な「草」と「治癒」の能力を持ち、この町で生きていくには十分だった


可愛らしい娘が生まれた5日目の、柔らかな雪が降る朝、両親は小さな赤ちゃんを暖かい布で幾重にも包んで、

町の教会に出かけた


すでに何人かの赤ちゃんが「見極め」の儀式を受けたらしく、教会の周辺は賑やかだった


人々はみんな笑顔だ

きっと赤ちゃんがとても良い「能力」を授かっていたのであろう


ここ数年、異常なほど能力が高い赤ちゃんが生まれていた


歴史的に大変珍しいとされ、「奇跡」と呼ばれる全てが「MAX」状態まで引き上がる「超能力」を持つ赤ちゃんや、

「勇者」と呼ばれる眩しい光を持って生まれた赤ちゃん、

「破壊」と呼ばれる怪力、「無限」と呼ばれる魔導士、などなど


100年に一度現れるかどうか、と言われていた才能を持つ子供達が同年代に揃っていた


そんな中で、両親は「チェルシーはこの町で幸せに生きていけるぐらいの能力でいい」と願っていた



大司祭は慣れた調子でチェルシーに王冠を載せる


重そうに見えるのだが、大司祭の魔法で重さを感じないようになっていた


チェルシーは泣くこともなく、お利口さんに母親の腕の中でキョトンとしている


王冠のダイヤはいつもより反応が遅かった


大司祭が訝しげな顔をする…と同時に、ダイヤが一瞬真っ黒になり消えた


「これは…」







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る