「国境を超えたプレゼント」
この物語を書き始めて運命的な再会があった。
「竜ー!竜ダヨネ!?」
「え?もしかしてジェニー?」
「そうだよ!オボエテテクレテル?」
綺麗な発音とカタコトが混じりながら頑張って日本語を話すその相手は中学の同級生のジェニーだった。
ジェニーとの出会いは中学二年生の時だった。
中学二年生のある日のこと—。
「今日は皆さんにロシアからの転校生を紹介します!ジェニー・タイナーちゃんです」
異国の国からやってきたジェニーは金髪で肌も透き通るような白さでまるで天使のような可愛らしい女性だった。
ジェニーはお父さんが経営する貿易会社の関係で日本に引っ越してきたという。
その為、この学校にいるのは3ヶ月だけ。と最初から決まっていたのだった。
津田さんという50代の女性の通訳を引き連れたジェニーはまるでSPを引き連れた海外モデルのような感じでその日からの学校内を大いに賑わせた。
毎日ジェニーと話したいクラスメイトや同学年の生徒がやってきて日本語が話せないジェニーにみんな日本語で質問するので津田さんの仕事量は半端なかったと思う。
そんな中、ジェニーに声をかける生徒が多すぎてジェニーが落ち着いて学校生活を送れないということで1人ボディーガードを生徒の中からつけることになった。
そして、そのボディーガードに僕が選ばれたのだ。
理由は「ジェニーが絶対僕のことは眼中にないから」という思い出しても決めた担任にはブチギレそうなことだったがそのおかげで津田さんを通してだが、僕はジェニーとよく話すようになった。
そんなある日の3人での会話
「ジェニーは日本で食べてみたいものとかないの?」
津田さんがフランス語でジェニーに伝える。それにフランス語でジェニーが返す。
「チョコビ」
「チョコビ!?クレヨンしんちゃんの?」
「そうみたい」
聞くとクレヨンしんちゃんは転々とした引越し先のどの国でも放送があってたみたいでその中でしんちゃんがいつも食べてる「チョコビ」に興味があったそうだ。
ジェニーは日本に来てすぐ両親にチョコビの話をしたらしいがそんなわけわからないもの食べちゃダメと言われたそうだ。
僕はどうにかジェニーにチョコビを食べさせてあげたくて、学校にはお菓子持ち込み禁止だったが僕はジェニーのために女の子用みたいなピンクのチョコビのいちごミルク味のチョコビをこっそり持ち込んできっと津田さんの前で渡すと先生にチクられるから津田さんの目を盗みジェニーに渡した。
「ジェニー、チョコビだよ!」
急いで食べさせようとするとジェニーは静かに首を横に振り食べることを拒否した。
僕がそれでも諦めず食べさせようとするとついには泣き出してしまった。
そこからジェニーと話すのも気まずくなり一週間後には約束の時間が来てしまいジェニーは転校してしまった。
その日ぶりにジェニーと再会したのだった。
「てかジェニー日本語上手になってるね!」
「少しベンキョウした!」
「そうなんだ!」
「竜?今ジカンある?」
ベンチに座り僕たちは思い出話に花を咲かせた。
「ねえジェニー行きたいところあるんだけど…」
「どこ?」
僕は近くのスーパーに行きチョコビを買ってジェニーに渡した。
「ジェニー覚えてる?」
「覚えてる…スッゴク嬉しかった」
「でも食べなかったじゃん、泣いちゃったしジェニー」
「それは…」
「真面目だったから学校のルール破るの嫌だったんだよね?」
「チガウ!あれいちごみるくだった!ワタシ食べたかったのこっち!いちご苦手ででもあの頃日本語でそれツタエキレナカッタ」
「じゃこれは?」
「はじめてたべる!スゴクスゴク嬉しい」
そうして、1口ジェニーはチョコ味のチョコビを口にした。
「ナルホド」
ジェニーはそう言い残りを僕にくれた。
「まあ絶品!って感じでもないもんねw」
そう僕が言うと首を思いっきり縦に振った。
ニコニコ笑いながら「2年前ぐらいにコッチに来たの!マタアソボウネ!」と言いジェニーは仕事へと向かった。
僕が学生時代にあげた国境を超えたプレゼントのせいで泣かせてしまったと言う嫌な思いでがすーっと成仏していったのだ。
その笑顔とそのお姫様のような容姿に僕はどれだけ幸福な時間を共に過ごせたんだろう。
「チョコビ姫」ことジェニー・タイナー
僕はあなたが大好きでした。
僕は人生で関わる全ての女子を愛することに決めた。 岩山竜秋 @Ryu_dra
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