エピローグ

「お前の結婚式、行かなくて悪かったな……」


朝食をとっていた俺に、

皓太が不意に言った。


行かなかった、か。

──行けなかった、じゃないんだな。


その言葉で、なんとなく理解した。

うん。

いいよ。


俺だって、お前の結婚式に招待されたら、

行かなかった。

そう思う。


昨夜、皓太は色々話してくれた。

理解できたし、受け入れることもできた。


皓太らしい。

ただ、そう思った。


尊人の死。

皓太との再会。

そして、再解。


俺と皓太は、

互いに反対方向の始発列車を待ちながら、空を見ていた。


雨上がりの虹はなかった。

ただ、

青い空が広がっていた。


──あの日のように。

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あの日の雨の名は あきりょう @Aki-Ryo

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