記憶と命が響き合う、美しく切ないSFヒューマンドラマ

記憶を量子レベルで保存できる未来を舞台にした本作は、SFの設定を土台にしつつ、人間の想いそのものを丁寧に描いた非常にエモーショナルな物語です。

記憶標本館で働く青年・璃空が、死者の記憶の奥に自分の姿を見つけた瞬間から、世界の輪郭が静かに揺らぎ始めます。

そこから展開するのは、ただのSFではなく、時間を越えて響き合う心と心の物語だと感じました。

記憶とは何か、存在とは何かというテーマに優しく迫りながら、読者の胸に温かを届けることも忘れません。

複雑な理屈を使いながらも語り口はとても読みやすくて、切なさと希望が同時に押し寄せてくる感覚が心地良いです!

ラストに込められた救いが静かに美しく、読み終わったあとしばらく余韻から抜け出せませんでした……。

SF好きだけでなく、心に残る物語を求める方にも強くおすすめしたい一作です(๑•̀ㅂ•́)و✧