お披露目会にて

第9話 そうだ!お披露目会をやろう!

 11月27日 午前7時07分

王国『パラティーヌ』

 王宮・玉座の間にて


「ロスペン侯爵よ、良く来てくれた。今回は『あることについて』話したくてな」


 玉座に国王の言葉に、片ひざをついて頭を下げるアクレリア。


「陛下。話しとは……一体……」


 アクレリアは顔をあげ、緊張の色が隠せていない様子で言葉を紡ぐ。国王は、苦笑いを浮かべながら本題を話し始めた。


「畏まった話ではない……。今日の夜、『聖女のお披露目会』をやろうと思ってな……」


 アクレリアは唖然としてしまう。


「え…、お披露目会……?しかも……今日の夜、ですか?」


「そうだとも。少し…早すぎたか?」


「いや…、は、早すぎませんか……?」


「聖女は昨日、召喚されたのだろう?遅かれ早かれ、皆にお披露目するのだ。それが早くても何も、問題はないだろう」


 昔から度々聞かされている君主の突拍子の発言に、アクレリアは呆れて何も言えなくなってしまった。


     ーーーーーーーーーー


 同日 午前7時07分

王国『パラティーヌ』

 ロスペン侯爵家・聖女の部屋


「え?お披露目会が……今日の夜……?」


 驚くシオンに対し、アクレリアは申し訳なさそうに頭を下げる。


「申し訳ございません、聖女様。国王陛下が決めたことですので……」


「あっ、だから…頭下げないでください!!」


 シオンは慌てて、アクレリアに下がった頭を挙げるように促す。


「って……お披露目会か……。てことは…王族もくるってこと……?」


「その通りです。王族のほかに、上流階級の家も出席させれます」


「え?上流階級……?」


 難しい言葉を聞いたシオンの首が、自然と傾く。そんな彼女にたいし、アクレリアは口を開いた。


「上流階級と言うのは…、爵位を持っている家のことです。あとは…大商人、大臣と言った官僚などなどを引っくるめて、上流階級と言うのです」


「な、なるほど……」


 アクレリアの親切な説明に、引きながら相づちを打つ。


(てことは……作法とか、諸々覚えないといけないのか……しかも、今日の夜までに……)


 シオンの地獄の勉強時間が今、幕開けた。


 彼女は知らない。


 このお披露目会で、ある出来事が起こることを……






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