『ユイノカケラ』の作り方 ※ネタバレあり
1.たたき台を出してもらう
最初AIに「少ない登場人物、見通しの良い町並みと自然、眩しい夏の日差し、key作品のAIRのような世界観で話を考えてみる試み」と提案して、AIから以下のような案が出ました。
■ タイトル案
「風の向こうに君がいた」
■ 舞台設定
町名:浜凪町(はまなぎちょう)
海と丘に囲まれた人口2000人ほどの小さな町。廃校寸前の小学校があり、観光地でもなく、ただの“何もない町”。
特徴
見通しのいい一本道
海岸沿いの防波堤
枯れかけた神社
セミの声と陽炎が揺れる
■ 登場人物(最大3人程度)
主人公(17歳)
都会から転校してきた男子。親の都合で夏だけこの町に滞在予定。少し無気力だが、昔の記憶をよく思い出す癖がある。
少女・ユイ(謎めいた少女)
毎日同じ時間に海辺のブランコに座っている。地元の人には見えていないようだが、主人公には見える。風の匂いを好む。
町の同級生・カズキ(地元の少年)
地元に強い郷愁を抱いている。ユイの存在を信じないが、昔どこかで会ったような気がすると言う。
■ テーマ
「再生」「記憶の輪廻」「風が運ぶ想い」
■ あらすじ(プロトタイプ)
夏休み、主人公は親の仕事の都合で浜凪町に滞在する。ある日、人気のない海辺で風に髪をなびかせる少女・ユイと出会う。「風の向こうに行けたら、想いは届くのかな」と呟く彼女。主人公は彼女と会話を重ねるうちに、かつて自分がこの町で過ごした幼い夏の記憶を思い出し始める。
彼女の言葉には、どこか懐かしい響きがある。やがて、ユイの正体がこの町にまつわる“ある伝承”と結びついていく――。
2.たたき台から発展させる
たたき台を元に色々自分で提案していきました。
以下自分の提案を一部抜粋。
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今際に体験する。走馬灯の中の話しで、走馬灯の中でまた走馬灯を見る事を繰り返す。無限にも思える走馬灯世界の連鎖にも終わりが迫ると魂を来世へとつなぐ存在が走馬灯世界に表れるようになる。それがユイ。魂が自己から離れていく事で魂と記憶が分離を始める、最後の走馬灯世界で自覚はないが魂として存在していた主人公は自分の記憶を俯瞰で見る事になる。その記憶としての自分がカズキ。
夏を何度も繰り返すループ系の話しにして、最初はカズキは特に親しくない同級生。 それが、何度目かの夏から徐々にカズキが傍にいる描写が増えていく。クライマックスになって少女が現れる。とか。
これは数々の魂を見送るユイを絡めたオムニバスみたいな展開も出来そうです。
カズキという記憶と別れる事で来世へと行くみたいな事も入れたいかもしれないです。 前世の記憶がない事ともリンクできそうなので。
一旦ユイノカケラで行きましょうか。走馬灯世界も一生分ではなく記憶の一部のカケラを繰り返すとかの方が良さそうだし
全然適当に考えついたヤツなんで、決定ではないんですが、ユイの正体はAIで、まぁAIじゃなくても良いのですが、研究の為にブラックホールに投げ込まれた。もしくは事故で吸い込まれた。特異点に近付いて相対的に世界の全てを同時に観測する事になる。それは、連続する走馬灯世界とリンクして…とかはちょっと難しいですかね。
走馬灯の中の走馬灯の中の走馬灯の中の…が自分世界を何度も体験してるけど、外から見ると今際の一瞬って言いうのが相対的な時間のギャップ感がブラックホールの感じと通じるものが有ると思ったんですよね。時間のフレームレート的なものがが重なる事で、それが見えるようになるみたいな、フレームレートがバラバラだと止まって見えたり、カクついて見えたり、瞬間移動して見えたりするじゃないですか。そこが一致する事で同じ世界を感じれるみたいな事にしようかなと、今思いました。
やっぱりフレームレートという文言は何かそういう関係の事を知っている人にしか通じなさそうなので、時間の密度とか圧縮率とかそんな感じにしましょうか。
ブラックホールのように相対的に極限まで圧縮された時間の密度と、走馬灯世界の入れ子構造を極限まで繰り返した時間の密度が重なる時にユイが干渉出来るみたいな感じと、走馬灯世界の外の世界の今際では、時間の密度が違うから干渉できないみたいな事も説明に入れて、もう一度設定をまとめてみてもらって良いでしょうか。
走馬灯世界を人生全体でなく、記憶の一部とする事で主人公が走馬灯を見る事になった理由や、その時期をぼかせるのは良いかなと思いました。「死」を直接的に描かない感じでいけるので、そっちの方が良さそうかなと思う。
魂との別れの経過も違いを付けられた気がします。1話目は魂と記憶が明確に別れ始める事で俯瞰的に記憶を別のもの(カズキ)として認識し易くなっていく。
ただ、今ちょっとユイの存在理由というか、何しに来たの感はなくはないんですよね。その辺をちょっと詰めたいかもしれないです。
もし研究の為に宇宙へ向かったAIだとしたら、観測と記録がユイの存在理由だという事に出来ませんかね。なんか記憶っていうテーマにも重ねられそう。
ユイの魂を来世へとつなぐ存在という最初の方に思いつた部分はブラックホール云々の出自から考えてなくてもいいかなと思いました。あくまで、観測と記録が存在理由。補助的に導きの様な事もするかも見たいな感じで良いかなと。最初は観測と記録を繰り返しているだけだったけど、魂と記憶の記録を積み重ねるうちユイの行動にも静かな変化が現れ始め、今のように走馬灯世界に少しだけ干渉するようになっていった。みたいな感じで。あと、姿を現すほどの時間密度の一致は各話のラストの方だけだけど、各話の前半部分は観測は出来るぐらいではある。という感じで時間密度の一致度によってその辺りの干渉可能度合も段階的であるという風にすれば、ユイが何となく前半の事情も知ってる感みたいなのの説明も出来そう。
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などなど。
3.本文を作る
1話目の本文に関しては、最初はAIに添削をお願いしていたのですが最後の方でシーン毎に主要な流れとセリフを指定してAIがシーンの本文を生成、それを整合性など確認して修正、その後更にAIに添削依頼。最後に添削案の精査と適用という流れが良さそうとなりました。
1話目の後半に自分が出した指示を一部抜粋。
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とはいえ、こんな田舎だと遊ぶところも限られている。「暑いし、学校のプールでも使えたらいいんだけどな」的なことを主人公が言う。「使えるよ。行こうか」的なカズキの発言。プールへ。
夏休み中の誰もいない学校へ着くとプールまでの門や扉の鍵もなぜか開いている。当直の教師などもいない。プールにはなぜか水が張ってある。
「あ」と主人公「ん?どうしたの?」「水着…ない…」「あぁ」と言いつつカズキが主人公の背中を押す。なにすんだ的な主人公と笑っているカズキ。カズキもプールに飛び込む。
プールの端から端まで競争する流れになる。「ちょっと、待って」と言って主人公が上だけ脱いで本気モードになる。カズキもそれに倣う。ほぼ同じタイミングでゴール、少しお互いに自分が速いと張り合う描写。審判欲しいなとか何とか言いながら結局勝敗付かない感じに。
プールで遊び疲れて日陰で少し目を閉じて休む。しばらくするとカズキの声で目が覚める。目の前は夏祭りの縁日。服も乾いている。「もう、わかんないけどさ」(これだけはわかる)「楽しめっていうんだろ?」と半ば諦め気味に状況を受け入れる主人公に「うん!」と返事をするカズキ。
縁日の喧騒や周りにたくさんの人がいるが、屋台の店員など特定の人にフォーカスしようとしても、上手く認識できず曖昧。「今度はオレがおごるよ」などと食べ物を買ってお金を支払うときに店員の特徴が認識できないという違和感を一瞬描写。
誰か一人にフォーカスしようとしても認識が上手くいかない現象は、屋台で主人公が今度はオレがおごると言ってモノを買ってお金を渡す時とかにサラッと描写する程度で良いです。現実世界でも赤の他人の誰か一人を注視する事はそんなに多くないと思うので。読者に強く印象付けたいわけでもないからちょっとした違和感程度で良いです。
2人だけが知っているような穴場的な高台から打ち上げ花火を見る流れ。
神社と公園→一本道(神社側には屋台が並んでいる)→田んぼ→川の土手(花火打ち上げ場)みたいな地理関係。
通行規制された道に屋台が並び人々が花火が内側る方向を見ている光景を見下ろす。全ての花火が打ち上がり、視線を下へ戻すと人々も屋台もいなくなっている。
あっけにとられる主人公。カズキが話しかける。「あのさ」「え?」「ボクたちの最初の記憶…覚えてる」「えっと、ブランコまで引っ張られて…それで、オレ…」「あの時の勝負まだ終わってないよね」「え?いや、まぁ、そうだけど、別にどうでも…」「行こう」的な流れでカズキに連れられてブランコへ。
再びブランコへ行っておもむろにカズキが地面に線を引く。「ほんとに、その位置かよ?よく覚えてるな」とか言いながら主人公があの時より成長してるんだから越えれるのは当たり前じゃないかと思いつつ飛んでカズキの記録を超えてどうだみたいにカズキの方を振り向くとカズキがいない。辺りを探し回る。隣接した神社の境内。花火を見た高台。道に出ても見当たらない。
ふと、声がする。誰の声かは分からない(実はユイの声)。声に導かれるままに歩いていると、いつの間にか浜辺にたどり着く。そこに海を見つめているカズキがいる。カズキ!と主人公。
カズキと話す。「もう、時間なんだ…そうなんでしょ?」と主人公の後ろに向かって話しかけるカズキ。主人公が振り向くとそこにはユイ。
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このような感じで各話設定を詰めて、本文で指示出しをしつつ作っていく流れです。
ユイノカケラ ごぼうりんぐ @goboring
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