反出生主義 我々の希望
@takahirohorii12
第1話
私は中学生の時にショーペンハウアーの全集を偶然見つけたことがある。世の中にはアイドルというのがいてアイドルに憧れを抱いていたとしても結局関わることはできない。これに対する絶望と虚無感を感じていたときだった。まさに天啓だった。
ショーペンハウアーは誠実な文体と経験に根ざした視座で様々なことを語ってくれた。女についてや人生について、意思とはどのようなものか、現実の起こっている事柄はどのように判断すればいいのか。
人生のどうしようもない感じ、言ってしまえば生誕に由来する絶望に対して語ってくれる人がまずいなかった。ここも大きく影響しているかもしれない。多くの人は若者には未来があるとか、若いのだからこれからの人生があるとか、なんでもできるというが結局生き続ける限り老いるのでありその苦痛からは逃れられない宿命はなんとなく感じていた。好きな人を見つけてもどうなるかわからない、幸せは作っていくものであって用意されているわけではない。街を歩いていてカップルは自分勝手なことをしているし失望していた。
ショーペンハウアー以外にもこれと似たようなことを言っている人がいることに気づいた。老子は方向性は違うかもしれないが結構近いところにいるし、仏教もそうだろう。特に原始仏教はそれに近いかもしれない。あとからショーペンハウアーが仏教の影響を受けていたことを知った。
欲望に左右されないこと、欲望から距離を取ること、自己の直感を活かすということ、真理を探求するということ。彼らの誠実な著述に心を打たれた。
中学生の時の私はそれとは別に芸術の中の女性に心を惹かれていた。イラストレーションや物語のなか、絵画のなかの女性。こういう激情とともに様々な書物からのインスピレーションが併存しているようなよくわからない感じ。
徐々に自分の存在と世界を切り離して考えたほうがいいと思うようになった。そこから反出生主義という着想を得た。
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