本物の女子高生は俺だ!

白川津 中々

◾️

 女子高生というのは飛んだり跳ねたりするだけでかわいいのである。


 故に俺は女子高生になる! 制服、カーディガン、ローファー、スクールバッグとそれに付けるぬいぐるみのキーホルダー! 小物はシュシュ風腕時計に襟とポッケに差し込むキャラ物ヘアピン! 全部装備すればほら! 女子高生完了! 見よ! この完成された愛らしさを! 早速撮影して動画サイトに投稿だ! クランクアップ! 流行りのミュージックにのせてレッツダンス! 


 ……


 ……可愛くない。


 収録した動画を見て絶望。これではおじさんが女子高生のコスプレをして踊っているだけの狂気だ。なに一つ可愛くない。これでは駄目。なにが足りない。年齢? 性別? 否! 心の底から女子高生になりたいという思いが、魂が欠けているのだ! 引き返せないかもと怖気付き、女子高生の精神に至る手前で踏み留まっていたのを認めざるを得ない。越えねば、社会を! 到達せねば、境地に!  


 振り上げる拳。勢いよく振り下げ陰嚢を掴み、引きちぎる。素手による去勢を経てビデオに映し出される俺! これだ! これこそ女子高生だ! 


「光、満ちたり……!」


 眩み,意識が遠のく。今は泡沫。次に起きたら、女子高生……

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