第2話犬鳴村包囲網

犬鳴峠が何故に犬が鳴くと書くのか?その理由は犬鳴峠はあまりに傾斜がキツく犬が疲労から鳴き声を上げるからだと云う昔話から取られたと云う逸話が存在する、しかし痛みや疲労を感じず真夜中の森さえ真昼の如く見える彼女達生徒せんしにはそんな自然の難所も全く問題にならない(闇を見透すのでは無く昼間と同じ様に見える、故に生徒せんし達からすれば昼と夜の区別は存在しない)

「この先日本国憲法は通用しない、この看板は間違いない、白いセダンはアレか?」

ダークアクシズ斥候兵アイシャはそう言うと両眼から光を照射してセダンを解析スキャンする、そして読み込みスキャニングしたセダンの情報データを自らの遺伝DNA情報データ組み込むプログラミングすると白いセダンの姿に凝態カモフラージュする

「白い肉体ボディも中々似合っているだろう?」

これは生徒達の持つ機能システムの一つで様々な乗り物ビークル動昆虫ビースト等に変形して相手を欺く凝態能力カモフラージュスキルで有る、その他にも移動能力の向上や肉体ボディ再構築リフォーマットによる自己修復リジェネレーションにも活用する事が可能なのだ

「遊びはそこまでだ、ガーベラがこちらに来るらしい、それまでに村の包囲網を完成させて置く必要がある」

ダークアクシズ殲滅兵ブラックバレルの言葉に同じくダークアクシズ所属の追跡探査兵タランチュラスが驚く、ガーベラと言えばダークアクシズの最高技術局局長と云う大幹部である、そんな最上位階級グランドクラス生徒せんしがこんな辺境の村の殲滅作戦に何の用だと云うのだろうか?

「ガーベラも弱い者イジメが好きだからな、それにたまには息抜きでもしたいんだろう」

そう言って現れたのはダークアクシズ暗殺兵のマンティクスである、カマキリを特質モチーフにした外骨格と鋭い二本の鎌の形をした両腕をしたダークアクシズきっての腕利き暗殺者アサシンである

「包囲の状況はどうなっている?」

「包囲網はほぼ完成しております、後は村の内部調査に出た生徒せんしを待つだけです」

ブラックバレルの言葉にこの部隊チームの末端兵であるハサミムシの特性シルエットを身に宿したシザーピンチが報告する、部隊チーム面々メンバーの中ではタランチュラスの次に小型な体躯のおかっぱ頭の女子生徒である、しかしその胸からはハサミムシ由来の鋭いハサミの形をした外骨格が突き出ている

「やあやあ諸君、授業意欲旺盛そうで何よりだ、キシシ、これでまた一つ僕の功績が増える」

そこにダークアクシズ独立遊撃兵ナグモを伴って丸眼鏡を掛けた緑髪の小型の生徒せんしが現れる、彼女こそ浦安みつりん昆虫師団の昆虫参謀ハガである、六つの形態フォームを持つ六段変形生徒シックスチェンジャーなのだ!

「報告します、村の住人は僅か五十少々、文明レベルはとても低く筋骨隆々なれど所詮は人間、我々の敵ではございません」

何も無い虚空から姿を現したのはカメレオンの特性シルエットを身に宿すダークアクシズ特殊工作兵リオーネである

「キシシ、それは僥倖、包囲の状態は?」

ハガの問いに答えたのは部隊チームの副官(一応)を務めるブラックバレルである

「それ程大きな村ではございませんので包囲網はほぼ完成しております」

その報告を聞いて満足そうにハガが頷く、そのタイミングでガーベラが複数体の生徒せんし達を連れて現場に到着した

「首尾は順調かぁ?こんな辺鄙へんぴな村だろぉが失敗は出来ねぇぜぇ?」

ダークアクシズは信賞必罰を信条おきてに掲げ弱肉強食を是とする戦争組織グリーンカラーである、信賞の言葉通り成果を挙げた者には褒美を、しかし失態を晒した(程度にもよるが)無能な者には必罰の通り厳しい懲罰が待っている

「無論でございます、必ずや犬鳴村殲滅作戦を成し遂げて御覧に入れます」

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